急性副鼻腔炎の治療法が知りたい! 症状・対策も紹介

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
免責事項について

可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

はてなブックマークに追加 Twitterでシェア Facebookでシェア Google+でシェア

急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)は、鼻の痛み・鼻水・鼻づまりが急に発症する病気です。発熱・頬(ほお)の痛みなど、ほかにもさまざまな症状が現れます。主な原因は、ウイルスや細菌感染ですが、アレルギー性鼻炎がきっかけで急性副鼻腔炎を引き起こす可能性もあるのです。では、急性副鼻腔炎が発症した際は、どのように対処すればよいのでしょうか。本記事では、急性副鼻腔炎を改善するために必要な内容を解説していきたいと思います。

  1. 急性副鼻腔炎とはどんな病気?
  2. 急性副鼻腔炎の原因は?
  3. 急性副鼻腔炎を放置するとどうなる?
  4. 急性副鼻腔炎の治療方法
  5. 子ども・妊婦の急性副鼻腔炎治療は?
  6. 急性副鼻腔炎に関してよくある質問

この記事を読むことで、急性副鼻腔炎の正しい治療法が分かります。症状で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。


1.急性副鼻腔炎とはどんな病気?

まずは、急性副鼻腔炎の基礎知識を深めることが大切です。

1-1.急性副鼻腔炎の定義

急性副鼻腔炎は、「副鼻腔に急性に発症する4週間以内の感染症」という定義があります。鼻の穴のことを「鼻腔(びくう)」といいますが、この鼻腔の周囲には骨で囲まれた空洞部分が左右それぞれ4個ずつあるのです。合計8個ある空洞部分は鼻腔とつながっており、この部分を「副鼻腔」といいます。つまり、急性副鼻腔炎は、何かしらの原因で副鼻腔に炎症が起きている証拠です。

1-2.特徴的な症状は?

主な症状は、痛みと鼻水です。今まで感じなかった痛みが急に現れ、鼻水が次々と出てくるでしょう。風邪と似たような症状が先行し、続いて悪臭を伴う鼻水が出てきます。悪臭が伴うのは、膿(うみ)を含んでいるからです。もし、頬(ほお)のあたりに位置する上顎洞(じょうがくどう)に炎症が起きているなら頬(ほお)痛み、鼻のつけ根部分に位置する篩骨洞(しこつどう)なら目の内側が痛みます。このように、炎症が起きている場所によって、痛む部位が異なるのも特徴です。

1-3.そのほかの症状

ほかの症状としては、発熱・目の腫(は)れ・視力低下・意識障害・頭痛などが現れる可能性があります。急性副鼻腔炎は、まれに目や脳に炎症が進行することがあります。もし、これらの症状が現れた場合は、早急の治療が必要でしょう。

2.急性副鼻腔炎の原因は?

急性副鼻腔炎の主な原因は、「ウイルス・細菌」「アレルギー性鼻炎」「急激な気圧変化」「外傷」の4つです。それぞれの原因について詳しく解説します。

2-1.ウイルス・細菌

ほとんどの急性副鼻腔炎は、ウイルス・細菌です。体の免疫機能が低下しているときに鼻風邪を起こし、そのまま急性副鼻腔炎を発症するケースがほとんどといわれています。疲労・病気で体の抵抗力が落ちているときは、発症確率が高まるので免疫力を維持することが予防のポイントといえるでしょう。

2-2.アレルギー性鼻炎

もともとアレルギー性鼻炎を持っている人が風邪を引くことで、急性副鼻腔炎になるというケースがたびたびあります。アレルギー性鼻炎は、花粉・ホコリやダニなどのハウスダストが原因でくしゃみ・鼻汁・鼻づまり・目のかゆみが現れるのが特徴です。アレルギー性鼻炎は鼻と鼻の粘膜が炎症状態にあるため、急性副鼻腔炎の発症率が高まります。

2-3.急激な気圧変化

風邪に続いて細菌感染するケースがほとんどですが、飛行機や潜水によって副鼻腔の気圧が急激に変化することで発症することもあるのです。気圧の急激な変化で発症する副鼻腔炎は、「気圧性副鼻腔炎」とも呼ばれています。機内などで副鼻腔炎の症状が現れた場合は、急激な気圧変化が関係していると考えてよいでしょう。

2-4.外傷

まれにですが、外傷が原因で急性副鼻腔炎を発症することがあります。たとえば、顔面を強く打ち、鼻の中が傷ついたときです。粘膜に傷がつくと炎症を起こし、急性副鼻腔炎の症状が現れます。顔面を強く打ちつけた後に症状が現れた場合は、外傷が原因の可能性が高いでしょう。

3.急性副鼻腔炎を放置するとどうなる?

ここでは、気になる悪影響・症状の段階をチェックしていきましょう。

3-1.気になる悪影響

急性副鼻腔炎の症状を放置すると、副鼻腔に膿(うみ)がたまり続けます。すると、本来、膿を排出する粘膜の働きが弱まり、腫れから鼻腔との通り道をふさいでしまうのです。さらに、炎症が治りにくくなるという悪循環に陥り、早急に治療を受けないと慢性化します。また、3か月以上症状が続く状態を慢性副鼻腔炎・蓄膿症(ちくのうしょう)といい、症状が長引くので日常生活にも大きな負荷がかかるのです。また、ポリープができたり、息がうまくできなかったりと、新たな問題が出てきます。

3-2.自然に改善する?

急性副鼻腔炎は、鼻風邪から発症するケースが多く、鼻水で体内の風邪ウイルスを出し切ることができれば、自然治癒の可能性があります。ただし、早く治したい・顔の痛みなどが現れている・ほかの細菌によるものの場合は早めの受診が必要です。すぐに治療を始めれば、慢性化が防止できますし、約1か月で症状がやわらぐでしょう。放置すればするほど、治療期間が延びて費用がかさみます。

3-3.症状の段階をチェック!

急性副鼻腔炎は、軽症・中等症・重症の3段階で症状が異なります。たとえば、「ときどき鼻をかむ」「咳(せき)がある」「我慢できる」「粘膜性鼻水が少量」の場合は、軽度または中等症に値するでしょう。けれども、「頻繁に鼻をかむ」「睡眠が妨げられる」「鎮痛剤が必要」などに当てはまる場合は、重症に分類される可能性があります。診断項目に点数がついており、合計点数が大きい数字ほど重症と診断されるのです。重症の場合は、すぐに病院で検査を受けて治療を受ける必要があります。

4.急性副鼻腔炎の治療方法

それでは、急性副鼻腔炎の治療方法をチェックしていきましょう。

4-1.鼻処置

軽症の場合は、ネブライザー療法と鼻水の吸引を受けることになるでしょう。ネブライザー療法とは、炎症を抑える薬などを霧状にして、直接鼻から吸入する治療のことです。薬の服用よりも副作用が少なく、直接鼻の粘膜に薬剤を行きわたらせることができる点がメリットとなります。
鼻が詰まっている状態は、鼻水の吸引を行うことになるでしょう。鼻水の吸引は細い管を鼻腔に入れて、鼻水を吸引し取りのぞく方法です。

4-2.投薬は?

中等度・重症の場合は、投薬治療が一般的です。軽症の場合は使いませんが、細菌が副鼻腔に残っている場合は抗菌剤を使用します。ただし、途中でやめると薬の効力がなくなってしまうため、処方された期間をきっちり飲みきることが大切です。膿が鼻の中にたまっているのに鼻水が出ない場合は、去痰剤(きょたんざい)を使うことになるでしょう。去痰剤は、鼻水を出やすくする効力があるため、膿を外へ出したいときに最適です。ほかにも、痛み止め・点鼻薬などが症状に応じて処方されるでしょう。
アレルギー性鼻炎が原因の場合は、保存的治療と手術療法があります。保存的治療としては、アレルギー抗原となるダニなどのハウスダストや花粉を防いだり、抗ヒスタミン薬・ステロイド点鼻薬など薬を使用する薬物療法です。基本的に、急性副鼻腔炎の治療は、鼻の中の空気の通りをよくして粘膜をキレイにし膿をなくすことが目標となります。症状・状態に適した薬を用いることがポイントといえるでしょう。

4-3.手術療法

慢性化して薬を服用しても改善の見込みがない場合は、手術を考慮します。急性副鼻腔炎の手術は、内視鏡で膿や病的な粘膜を除去する「内視鏡下副鼻腔手術(ESS)」です。軽症の場合は局所麻酔の日帰りで可能ですが、重症やアレルギー性鼻炎が併発している場合は、1泊2日の全身麻酔を施します。手術療法に関しては、担当の医師と話し合ってすすめるべきです。

5.子ども・妊婦の急性副鼻腔炎治療は?

子どもや妊婦の場合は、どのような治療法となるのでしょうか。

5-1.子どもの副鼻腔炎の特徴

子どもの副鼻腔炎は、風邪などが原因で炎症が起きるケースがほとんどです。鼻水・鼻づまり・痰・咳などが主な症状ですが、頭痛を訴える子どももいます。風邪を引くたびに症状をくり返し、いつの間にか慢性化してしまうケースが増えているので注意が必要です。子どもは大人と違い、自分で症状を訴えることができません。口を半開きにしていないか・緑色の鼻水が出ていないかなどしっかりと親が観察すべきです。
また、大人と同様に花粉・ダニなどのハウスダストからアレルギー性鼻炎を発症し、副鼻腔炎へと進行する可能性があります。目をこすっていたり、湿疹が出たり、皮膚をかいたりしている際は、病院で検査を受けたほうがよいでしょう。

5-2.子どもの治療法

体が十分に発達していない子どもの場合は、手術が大きな負担になる可能性があります。そのため、主な治療法はネブライザー療法・鼻水の吸引・内服療法になるでしょう。内服療法では、抗生剤・抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤など、症状に合った薬を服用します。大人の治療法とほとんど変わりませんが、子どもの場合は特別な場合をのぞき手術がほとんど行われません。

5-3.妊婦の投薬で注意すること

妊婦の場合は、おなかにいる胎児のことを考えた治療法となります。しかし、そのまま放置すれば慢性化のおそれがあるため、鼻水の吸引とネブライザー療法による通院治療が一般的です。また、生理食塩水を通して鼻の中を洗浄する方法も用いられるでしょう。このように、妊娠の有無で治療法が異なるため、耳鼻咽喉科を受診する際は、妊娠時期をきちんと伝えてください。妊娠初期は、免疫力の低下とホルモンバランスの変化から、急性副鼻腔炎を発症しやすい傾向があるので要注意です。

6.急性副鼻腔炎に関してよくある質問

急性副鼻腔炎に関してよくある質問を6つピックアップしてみました。

Q.治療期間はどのくらいか?
A.症状と状態によって異なりますが、約2週間~1か月が目安でしょう。症状が軽ければ、2週間以内で改善することもあります。ただし、細菌感染が原因の場合は、再発する可能性があるでしょう。再発防止のために努めることも、治療の大切なポイントです。

Q.歯の病気が原因で急性副鼻腔炎が発症するのは本当?
A.本当です。虫歯・歯周病が引き起こす炎症から副鼻腔炎に至るケースがあります。かなり重症化した虫歯と歯周病は、歯の根に膿がたまった状態です。そして、その膿が上顎洞に広がり、副鼻腔炎に至ります。この場合は、歯科医を受診したほうがよいでしょう。

Q.蓄膿症(ちくのうしょう)との違いは?
A.もともと、副鼻腔炎は蓄膿症と呼ばれていました。名前の通り、膿が鼻の中にたまる病気を蓄膿症といいますが、医療の発達によってCT撮影が普及し、膿がたまっていなくても炎症が起きていると判明したのです。その結果、炎症だけの人を含めて、蓄膿症から副鼻腔炎に呼び名が変わりました。また、慢性化した副鼻腔炎のことを蓄膿症と呼ぶこともあります。

Q.急性副鼻腔炎の予防法が知りたい
A.1番大切なのは、風邪と鼻炎を悪化させないことです。特に、インフルエンザや風邪が流行する冬の時期は、免疫力を維持し感染しないように注意しなければなりません。十分な睡眠を確保し栄養バランスの整った食事を心がけましょう。外出時は、感染を防ぐためにマスクをつけるとよいでしょう。ストレスをためない生活・適度な運動など、健康な体づくりを心がけることが大切です。

Q.急性副鼻腔炎の検査方法は?
A.頭部のCT撮影が一般的です。レントゲンでも診断できる場合はありますが、蝶形骨洞や前頭洞の炎症や軽度の炎症の場合レントゲンではわかりにくく、CTが必要になることがあります。副鼻腔は鼻の周辺にある空洞なので、CT撮影をすると通常であれば黒く映ります。しかし、副鼻腔炎になるとCT撮影で白く映るのです。ほかにも、内視鏡を使用して直接鼻の中をのぞきます。さまざまな検査方法を行い、その結果に基づいて判断することになるでしょう。

Q.病院・クリニックの選び方が知りたい
A.手術の実績、丁寧な診察や説明をしてくれるところを選びましょう。特に、手術は腕のいい医師が行うことで、症状をやわらげることができます。「川村耳鼻咽喉科クリニック」は、年間400件の手術実績があり、丁寧な説明を心がけているのでご安心ください。

まとめ

いかがでしたか? 急性副鼻腔炎は、空洞部分の副鼻腔に炎症が起きることです。炎症だけが起きているケースと、炎症に加えて膿がたまっているケースがあります。鼻の中にたまっている膿がすべて除去できれば症状が緩和できますが、放置すると慢性化するおそれがあるので注意が必要です。急性副鼻腔炎の症状が現れた際は、早めに受診をして適切な治療を受けましょう。処置が早ければ早いほど、治療時間が短く費用も抑えることができます。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績