赤ちゃんの鼻水や咳は放っておいても大丈夫? 病院に行く目安とは?

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

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赤ちゃんが咳をしたり鼻水を出したりすると、心配になるお母さんは多いことでしょう。また、咳や鼻水くらいで病院を受診してよいかどうか悩む方もたくさんいると思います。赤ちゃんは大人よりもか弱い存在なので、ちょっとした風邪でも症状が重篤化することもあるでしょう。さらに、鼻水の状態によっては中耳炎のような他の病気を発症しやすくなることもあります。

そこで、今回は赤ちゃんの鼻水や咳が出る原因や対処方法・病院へ行く目安などをご紹介しましょう。

  1. 赤ちゃんの鼻水や咳の基礎知識
  2. 赤ちゃんが鼻水を出した場合の対処方法
  3. 病院を受診する目安や鼻水・咳の治療
  4. 赤ちゃんの鼻水や咳についてのよくある質問

鼻水や咳が出る原因が分かれば、いざという時もすぐに対処できます。赤ちゃんの鼻水や咳が気になるという方や病院を受診する目安が知りたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.赤ちゃんの鼻水や咳の基礎知識

はじめに、赤ちゃんが鼻水や咳を出す原因や注意点をご紹介します。病気を含めて、どのような原因があるのでしょうか?

1-1.鼻水や咳の役割

鼻水や咳は、体の防御反応です。鼻の中や気道にホコリなどの空気中の異物やウィルス・細菌などが入った場合、それを体外へ排出しようとして、鼻水や咳がでます。また、母乳やミルク、冷たい空気などが鼻の中や気道に入ったときも咳や鼻水が出るのです。赤ちゃんの場合は、大人よりも粘膜が弱く敏感なため、ちょっとした気温の変化や空気の汚れなどでも咳や鼻水が出ます。

1-2.病気が原因の咳や鼻水と体の防御反応との違い

風邪をはじめとする病気を発症すると鼻水や咳が出やすくなるのは、体内に繁殖したウィルスや細菌・さらにそれらと戦った白血球の死骸などを体外に排出するためです。この場合に出る鼻水は粘度が増し、黄色っぽくなります。咳には痰がからむことが多いでしょう。また、ハウスダストなどが原因でアレルギー性鼻炎を発症しても、鼻水が大量に出ます。この場合は細菌感染ではありませんから、水のような鼻水が大量に出るのです。どちらも適切な治療を受けないと鼻水や咳が長引くでしょう。

一方、気温の変化や空気の乾燥・空気中の異物を吸い込んだ場合など、体が防御反応で咳や鼻水を出す場合は、しばらくすれば止まり、長引くことはありません。

1-3.赤ちゃんの咳や鼻水が長引く理由

風邪などで咳や鼻水が出るようになると、それが原因で他の病気に移行することがあります。代表的なものは

  • 副鼻腔炎
  • 中耳炎
  • 肺炎
  • 気管支炎

などです。副鼻腔炎や中耳炎は鼻水が原因で発症することが多く、肺炎や気管支炎は細菌やウィルスが肺や気管で炎症を起こすことによって発症します。風邪からこれらの病気に移行することも珍しくありません。

1-4.体の防御反応でも注意は必要

気温の変化や空気の乾燥などで咳や鼻水が出た場合も、注意が必要です。咳や鼻水が出るということは、赤ちゃんのとって好ましくない環境であるというサイン。温度や湿度を確認するなどして赤ちゃんにとって快適な環境を作ってあげましょう。また、掃除をこまめにして空気が汚れないようにしておくことも大切です。

1-5.鼻水由来の肌荒れに注意

赤ちゃんの肌は大人のものより薄いため、ちょっとしたことで肌荒れを起こしやすいのです。ですから、鼻水が大量に出ると鼻の下を中心に肌荒れを起こしやすくなります。どのような状態の鼻水でも肌荒れは起こるため、早めに耳鼻咽喉科を受診して鼻水の治療を受けさせることが大切です。

2.赤ちゃんが鼻水を出した場合の対処方法

この項では、赤ちゃんが鼻水を出した場合の対処方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

2-1.鼻の外に鼻水が垂れている場合

鼻の外に鼻水が垂れている場合は、ぬらしたガーゼなどで拭ってあげましょう。ティッシュは意外と繊維が硬いので、ごしごしとこすると肌が荒れてしまいます。粘度のある鼻水が鼻の下で固まってしまった場合は、お湯に浸して硬く絞ったガーゼをしばらくあて、蒸らすようにするとはがれやすくなるでしょう。外出しているときは、おしりふきやお手拭きで拭いてあげるといいですね。

2-2.粘度を増した鼻水が詰まっている場合

風邪などの感染症にかかると鼻水の粘度が増します。その結果、鼻づまりを起こすことも珍しくありません。赤ちゃんが鼻づまりを起こすと母乳やミルクが飲みにくくなり、睡眠の質も悪くなります。鼻がつまってきたなと思ったら、まずは綿棒でそっと鼻の中をぬぐってあげてください。

鼻水の量がましてきたら、鼻吸い器で吸ってあげましょう。鼻吸い器とは、赤ちゃんの鼻水を吸う道具でドラッグストアや赤ちゃん用品を販売する店舗で扱われています。電動のものやストロー式などがありますので、お好みのものを選んでください。

2-3.赤ちゃんが鼻づまりでつらそうな時の対処方法

赤ちゃんが鼻づまりでつらそうな時は、部屋を暖めて湿度を上げてください。湿度が上がると一時的に鼻が通りやすくなります。加湿器を枕元に置いてあげてもよいでしょう。

母乳育児をしている場合は、母乳をスポイトにいれてごく少量を鼻にたらしたり綿棒に母乳を染みこませて鼻の穴に入れたりする母乳点鼻もおすすめです。母乳には抗炎症作用があるので、鼻粘膜の炎症を鎮めて鼻づまりを解消する効果が期待できます。ただし、ミルクでは代用できないので注意してください。また、母乳点鼻は応急処置です。鼻づまりで赤ちゃんが苦しんでいる場合はできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

2-4.中耳炎や副鼻腔炎に注意

中耳炎は鼓膜の内側にある中耳という部分が炎症を起こす病気、副鼻腔炎は鼻の周囲にある副鼻腔という空洞が炎症を起こす病気です。どちらも感染症にかかり、粘度を増した鼻水が原因で発症します。粘度を増した鼻水の中にはたくさんの細菌やウィルスが含まれており、中耳や副鼻腔は細い管で鼻とつながっているのです。つまり、鼻水の粘度が増すと鼻水内に含まれている細菌やウィルスが管を通って副鼻腔や中耳に侵入し、炎症を起こしやすくなります。特に、鼻水をうまくかめない赤ちゃんは中耳炎や副鼻腔炎になりやすいでしょう。

  • 耳をしきりに気にしたり急に機嫌が悪くなる
  • 耳から膿状の粘液が垂れる
  • 風邪の症状は治まったのに鼻水だけがいつまでも続く

このような症状の場合は、中耳炎や副鼻腔炎を発症している可能性があります。至急耳鼻咽喉科を受診してください。

3.病院を受診する目安や鼻水・咳の治療

この項では、病院を受診する目安や鼻水と咳の治療方法についてご紹介します。どのくらい鼻水が出れば病院を受診すればよいのでしょうか?

3-1.病院を受診する目安や受診する診療科

鼻水がどのような状態であれ、3日以上止まらずに改善の兆しも見られない場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。小児科では、副鼻腔炎や中耳炎にかかっていても見逃されてしまうことがあります。また、透明で水のような鼻水が大量に出ている場合は、アレルギー性鼻炎が疑われるのです。この場合はアレルギー検査も必要ですから、アレルギー科を併設している耳鼻咽喉科が最も適しています。

3-2.熱などの症状が出ている場合

感染症にかかると粘度を増して黄色くなった鼻水が出る他、咳や熱が出ます。この場合も耳鼻咽喉科で治療が可能です。小児科か耳鼻咽喉科か迷った場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。

3-3.治療までの流れ

耳鼻咽喉科では、母親か父親が赤ちゃんを抱っこして診察を受けます。鼻の中や耳の中の様子を確認して病名を特定するのです。透明で水のような鼻水がたくさんでている場合は、アレルギー検査を行うこともあります。

感染症で鼻づまりが起きている場合は、鼻水を吸引してくれるので赤ちゃんはずいぶんと楽になるはずです。その後は、投薬を行います。赤ちゃんが飲みやすいようにシロップの形で薬を出してくれる病院もあるでしょう。粉薬の場合は、母乳やミルクに混ぜて飲ませてください。

3-4.病院の選び方や注意点

赤ちゃん連れの場合は、病院を受診するだけで大変です。インターネット経由で予約が取れる病院ですと、待ち時間も分かって便利でしょう。また、鼻水の治療は長引くこともあります。家から近い病院を受診すれば通いやすく、手間もかかりません。

病院を受診する場合は、念のためにオムツと着替えを1組持っていきましょう。

4.赤ちゃんの鼻水や咳についてのよくある質問

Q 赤ちゃんでも花粉症にかかるのでしょうか?
A 現在のところ、花粉症が発症した最年少は2歳です。ですから、生後1歳未満の赤ちゃんが花粉症を発症する可能性はほとんどありません。しかし、ハウスダストアレルギーは生後数か月でも発症します。

Q 赤ちゃんを不用意に病院へ連れて行くとかえって具合が悪くなりそうです。
A そのように考える親御さんは多いのですが、鼻水を放っておいて副鼻腔炎や中耳炎を発症するとさらに治療が大変になります。今では、インフルエンザなどの感染症に感染した方は待合室を分けるなど工夫している病院もたくさんありますから、安心して受診してください。

Q 耳鼻咽喉科ならば、どこでも赤ちゃんを診察してくれますか?
A はい、大丈夫です。

Q 中耳炎や副鼻腔炎は自然治癒することはありますか?
A ほとんどありません。必ず耳鼻咽喉科を受診してください。

Q 6か月までの赤ちゃんは母親から免疫をもらっているので感染症にかからないと聞きましたが、本当ですか?
A 確かに免疫はもらっていますが、すべての感染症を予防する効果はありません。ですから感染症にかかることもあります。

5.おわりに

いかがでしたか。今回は赤ちゃんの鼻水や咳が出た場合の対処方法をご紹介しました。赤ちゃんはか弱い存在です。大人ならばなんともない風邪でも重症化することもあるでしょう。たかが鼻水・咳と考えずにできるだけ早く病院を受診してください。また、急に泣き叫んだり機嫌が悪くなったりした場合は、どこかに痛みを感じている場合もあります。この場合もできるだけ早く病院を受診してください。不安な方は、小児科と耳鼻咽喉科の両方がある総合病院を受診する方法もあります。