慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の手術方法は? 流れや費用・術後のケアを解説!

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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副鼻腔炎とは、鼻の周囲にある副鼻腔という空洞内で炎症が起こる病気です。性別・年齢に関わらず発症し、風邪から移行するケースも珍しくありません。発症しても中々気づかない方もいます。この副鼻腔炎が慢性化したものが、慢性副鼻腔炎(別名:蓄膿症)です。命に別状はないものの厄介な病気であり、完治させるために手術が必要なこともあります。

そこで今回は、慢性副鼻腔炎の手術についていろいろとご紹介しましょう。

  1. 慢性副鼻腔炎の基礎知識
  2. 慢性副鼻腔炎の治療方法
  3. 慢性副鼻腔炎の手術について
  4. 慢性副鼻腔炎を予防するためのセルフケア
  5. 慢性副鼻腔炎の手術に関するよくある質問

「手術をしたいけれど不安」という方も、手術の内容や流れを知ることができれば安心できます。慢性副鼻腔炎を患っている方や医師から手術を勧められている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。


1.慢性副鼻腔炎の基礎知識

はじめに、慢性副鼻腔炎とはどのような病気かということをご紹介します。単なる鼻づまりや鼻風邪と何が違うのでしょうか?

1-1.慢性副鼻腔炎とは?

慢性副鼻腔炎は、副鼻腔炎内の炎症によって起こる病気です。副鼻腔炎を発症したばかりの頃は、急性副鼻腔炎と呼ばれます。この時に適切な治療を受けると炎症は比較的早く収まるでしょう。

しかし、治療を受けなかったり体の免疫力が低下していたりすると炎症が悪化することがあります。こうなると、副鼻腔内に膿が増えたり鼻と副鼻腔をつないでいる交通路が炎症で腫れあがり、塞がってしまったりするのです。

膿が炎症をより悪化させ、炎症によってさらに膿が増えるという悪循環に陥ります。一般的に、急性副鼻腔炎を発症して3か月以上経過しても症状が改善しない場合は慢性副鼻腔炎と診断されるのです。

1-2.慢性副鼻腔炎の症状

慢性副鼻腔炎は蓄膿症とも呼ばれ、副鼻腔内に膿がたくさんたまってしまう病気です。副鼻腔内に膿が多量に溜まって炎症を起こしていると、鼻水に膿が混じって粘度が増し、強固な鼻づまりが発症します。

また、膿が悪臭を放ち鼻水や鼻の奥が臭くなることもあるでしょう。鼻づまりが起こることによって鼻呼吸ができなくなれば、脳が酸素不足になって頭痛や集中力も落ちます。さらに、炎症が長引くと鼻茸という良性のポリープが発症することもあるのです。臭いの道の粘膜が腫れたり、嗅神経が炎症で損傷されると臭いもわかりにくくなります。

1-3.慢性副鼻腔炎の原因

慢性副鼻腔炎は、細菌やウイルス感染による急性副鼻腔炎から移行する病気です。急性副鼻腔炎を放置していたり十分な治療を途中でやめてしまったりすると発症します。ストレスや加齢などで免疫力が弱っている場合も、急性副鼻腔炎がなかなか治らず、慢性副鼻腔炎に移行してしまうことがあるでしょう。

また、アレルギー性鼻炎を患っていると鼻の粘膜が炎症を起こすことがあり、この炎症が副鼻腔内にまで広がると副鼻腔炎を発症することがあるのです。アレルギー性鼻炎はアレルゲンがある限り完治が難しい病気ですから、副鼻腔炎も慢性化しやすくなります。

慢性副鼻腔炎の患者数は正確には把握されていませんが、国内に百万人以上はいるのではないかと推測されているのです。

1-4.もう一つの副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎とよく似た病気に好酸球性副鼻腔炎があります。好酸球性副鼻腔炎というのは、白血球の一種である好酸球が急激に増えて副鼻腔内に炎症を起こす病気です。慢性副鼻腔炎は年齢や性別に関わらず発症しますが、好酸球性副鼻腔炎の場合は今の所成人にだけ発症が確認されています。

好酸球性副鼻腔炎は気管支喘息を発症している成人男性に多い病気で、発症していない方も好酸球性副鼻腔炎を発症するとぜん息になるケースが多いのです。発症すると鼻づまりの他、鼻茸が異常に発生し、ひどい場合には鼻からあふれそうになることもあります。再発しやすいことが知られており、中等度以上の場合は厚生労働省によって難病に指定されている病気です。

1-5.慢性副鼻腔炎のセルフチェック方法

  • 風邪を引いた後、鼻づまりだけが解消しない
  • 臭いがわかりにくくなった
  • 鼻水から悪臭がする
  • 鼻がのどに流れる症状が続いている

このような場合は、慢性副鼻腔炎を発症している場合があります。早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

1-6.慢性副鼻腔炎を放置する危険性

慢性副鼻腔炎は命にかかわる病気ではありません。しかし、鼻づまりが長期化すれば脳の酸素不足が続き、頭痛や集中力の低下も慢性化します。また、ごくまれなことですが膿が消化器官の中に入ることで、消化器官が炎症を起こすこともあるのです。重症化すると眼への影響や頭蓋内への合併症が起きることもあります。

さらに、口呼吸を続けていれば口の中が乾き、口臭が強くなります。この膿混じりの鼻水が喉の奥に落ちこむと、後鼻漏という不快な症状を引き起こすこともあるのです。

2.慢性副鼻腔炎の治療方法

この項では、慢性副鼻腔炎の治療方法をご紹介します。どのような治療が行われるのでしょうか?

2-1.病院を受診する目安

風邪などの感染症によっても鼻づまりは起こります。しかし、感染症が2週間もすれば症状は改善するのに対して、副鼻腔炎の場合は2週間以上鼻づまりが続くのです。

以前急性副鼻腔炎を発症している方は1週間以上鼻づまりが続いた場合は副鼻腔炎が再発している可能性があります。

2-2.耳鼻咽喉科の選び方

副鼻腔炎は、耳鼻咽喉科で治療を行います。慢性副鼻腔炎は手術をしないと症状が改善しないケースもあるので、手術することを視野に入れて病院を選んでください。症例が多ければ、色々な状態の副鼻腔炎でも対応してくれるでしょう。現在はホームページを運営している耳鼻咽喉科も多く、それを見れば、どのような治療を受けられるのかも分かります。耳鼻咽喉科選びの参考にしてください。

2-3.検査方法や治療方法

副鼻腔炎かどうかは、内視鏡検査やレントゲン検査をすればすぐに分かります。副鼻腔炎になると、鼻周辺の副鼻腔に膿が溜まるのでその部分が真っ白になって写るのです。また、副鼻腔炎がどのくらい進行しているのかを確かめたい場合は、CT検査が行われることがあります。

副鼻腔炎の治療方法は投薬や鼻水・膿の吸引が主です。鼻水や膿の吸引を行えば、鼻づまりがかなり解消しやすくなるでしょう。投薬は飲み薬の他、ネプライザーという機械を使って直接鼻に薬を噴霧します。この治療を数か月~半年単位で行うのです。子どもの場合もほぼ同様な治療が行われます。使われる薬はマクロライド系抗生物質が一般的です。

3.慢性副鼻腔炎の手術について

この項では、慢性副鼻腔炎の手術についていろいろとご紹介します。どんな症状の方が手術を勧められるのでしょうか?

3-1.慢性副鼻腔炎の手術をすすめられる人

  • 慢性副鼻腔炎が重症化しており、投薬治療では改善が難しい人
  • 慢性副鼻腔炎の再発をくり返す人
  • 鼻茸ができている人

このような方が医師から手術を勧められることが多いでしょう。

3-2.手術の方法

かつて副鼻腔炎の手術は、口の中を大きく切り開いて副鼻腔内にアプローチし、病巣粘膜を取り除く方法が一般的でした。しかし、この手術は入院が5~10日ほど必要で、術後に鼻血が出やすくなったり頬がしびれたりするなど弊害もありました。

現在は、内視鏡下副鼻腔手術といって、内視鏡と小さなドリルのような手術道具を鼻の中に入れ、病巣をモニターで観察しながら取り除く手術が一般的です。この手術ですと傷口は最小限で済みますので、日帰り手術も可能になります。

3-3.麻酔や入院について

内視鏡下副鼻腔手術は、日帰りでも行える手術です。しかし、病巣の状態によっては1~3日の入院を勧められることもあります。この辺りは、担当医とよく相談をしてください。麻酔は軽症なら局所麻酔、重症なら全身麻酔が一般的で、子どもの場合は全身麻酔が使われることもあります。手術時間は30分~1時間ほどで終わり、費用は1万円代~数万円です。健康保険が適用になるので、子どもの場合は自治体の補助で無料となることもあります。

3-4.手術の流れ

手術までの流れは医療機関によって大きく異なります。総合病院や大学病院などでは手続き上の問題や麻酔医診察との連携の問題で手術前数日から術後数日の1週間程度の入院が一般的です。

日帰りや短期滞在手術を行っている施設では、日帰り手術の場合、通常の診察と同じように来院して手術を受けます。全身麻酔をかける場合は、前日の夜からは食事ができないこともあるでしょう。

健康状態をチェックし、問題がなければ麻酔をかけて手術となります。手術後は別室で1時間ほど休み、問題がないなければこれで終了です。入院の場合は、翌朝まで状態のチェックが行われます。

3-5.術後のケア

手術をした後は一時的に腫れが起きて鼻づまりがひどくなることがありますが、ほとんどが一過性のものです。定期的にクリーニングを続けていれば、やがて鼻づまりもよくなっていくでしょう。手術からしばらくの間は飲酒や入浴は控えるように指示されますので従ってください。順調ならば10日ほどで鼻づまりは軽減してきて、手術の効果が実感できます。

4.慢性副鼻腔炎を予防するためのセルフケア

この項では、慢性副鼻腔炎を予防するためのセルフケアをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

4-1.鼻づまりが長引いたらすぐに耳鼻咽喉科を受診する

副鼻腔炎は、アレルギー性鼻炎を発症していなければ風邪から移行することが最も多い病気です。ですから、鼻づまりが2週間以上続いた場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

急性副鼻腔炎の治療も時間がかかります。薬を飲んだり鼻汁を吸引してもらったりすれば一時的に症状はかなり改善するでしょう。しかし、ここで治療をやめてしまえばまた症状がぶり返しやすいのです。医師から「もういいです」と言われるまでは通院を続けてください。

4-2.鼻をすすらない

鼻をすすりあげると鼻水が副鼻腔にいってしまいやすく、副鼻腔炎の原因となります。鼻はすすらずに片方ずつかみましょう。子どもの場合は鼻吸い器を使ってあげると効果的です。

4-3.風邪をひいたら休む

鼻水はありふれた体の不調なので、たかが鼻水と思われがちです。しかし、抵抗力が低下すればそれだけ副鼻腔炎も発症しやすくなります。風邪を引いたら無理をせずに十分な休養を取りましょう。

4-4.市販の点鼻薬を乱用しない

市販の点鼻薬を使うと、即効で鼻づまりが解消できます。愛用している方もいるかもしれません。しかし、乱用すると効きにくくなるばかりか鼻の粘膜が肥大して薬剤性鼻炎という副作用を発症することがあります。点鼻薬は用法と用量を守り、1か月以上連続して使わないように心がけてください。

4-5.子どもの場合は中耳炎に注意する

鼻の中は耳とつながっていますので、鼻水に含まれている細菌などが鼓膜の内側にある中耳という部分で炎症を起こすことがあります。これが中耳炎です。特に子どもが発症しやすく、放置していると聴力の低下を引き起こすことがあります。ですから、子どもの鼻水がひどい場合は、耳鼻咽喉科を受診して耳の中の様子も診てもらいましょう。

5.慢性副鼻腔炎の手術に関するよくある質問

Q.慢性副鼻腔炎を発症したら手術をしないと治らないのでしょうか?
A.絶対とは言えませんが、症状が長引くほど投薬での完治は難しくなる傾向にあります。

Q.慢性副鼻腔炎の手術は子どもでも受けることができるでしょうか?
A.可能です。医師と相談してみてください。

Q.慢性副鼻腔炎は再発するものでしょうか?
A.はい、残念ですが再発をくり返す人もいます。

Q.慢性副鼻腔炎は、手術を受ければ再発しなくなるのでしょうか?
A.絶対に再発しないというわけではありませんが、中等度以上の場合は確率はかなり低くなります。

Q.治療は急性副鼻腔炎の内に行った方がよいのでしょうか?
A.はい、もちろんです。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は慢性副鼻腔炎の手術についていろいろとご紹介しました。慢性副鼻腔炎は命に関わる病気ではありませんが、かなり厄介で鼻づまり以外の症状も多い病気です。たかが鼻づまりと思わず、必ず病院で適切な治療を受けましょう。また、日帰りとはいえ手術には変わりありません。十分に体調を整えて当日に臨んでください。