鼻の中が曲がっている病気、鼻中隔湾曲症とは? 原因と治療方法を紹介

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自分の鼻の中が曲がっているというと、大抵の方は驚かれることでしょう。しかし、鼻が完全に左右対称という方はごくわずかです。鼻を左右に分けているのは、鼻中隔という軟骨ですが、ほとんどの人が左右どちらかに曲がっています。多少の湾曲は、健康に影響することはなく、曲がっていることに気がつかない方も珍しくありません。しかし、鼻中隔の湾曲がひどいと鼻中隔湾曲症という病気と診断されます。片方の鼻だけがつまりやすいという方は鼻中隔湾曲症の可能性があるのです。鼻中隔湾曲症になると、鼻づまり以外にも鼻の不具合が起こりやすくなります。

そこで今回は、鼻が曲がっている病気の代表格、鼻中隔湾曲症についてご説明しましょう。

  1. 鼻中隔についての基礎知識
  2. 鼻中隔湾曲症の弊害とセルフチェック
  3. 鼻中隔湾曲症の治療方法
  4. ​鼻中隔湾曲症に関するよくある質問

鼻中隔湾曲症に対する知識があれば、病院を受診する目安も付けやすくなります。鼻中隔湾曲症についてよく知りたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.鼻中隔についての基礎知識

はじめに、鼻を左右に区切っている鼻中隔についてご説明します。なぜ、ほとんどの方の鼻中隔は曲がってしまうのでしょうか?

1-1.鼻中隔の仕組みと曲がってしまう理由

鼻中隔とは、鼻を区切っている軟骨の総称です。鼻中隔軟骨・篩骨正中板(しゃこつせいちゅうばん)・鋤骨(じょこつ)の3部位から成り立っています。鼻中隔は骨の一種ですから成長と共に他の骨同様に成長していきますが、3つが同じように成長するとは限りません。3つの骨がバラバラの速度で成長すると、鼻中隔は途中で曲がっていきます。また、人間は頭に重い脳が乗っているため、その重みで成長するにつれて鼻中隔が曲がってしまうのです。

1-2.鼻中隔が曲がっていく年齢

赤ちゃんの鼻中隔は、皆まっすぐです。成長するにつれて少しずつ曲がっていきます。ですから、鼻中隔湾曲症は大人になると発症する病気です。

1-3.鼻中隔湾曲症とは

さて、今までご説明してきたように鼻中隔はほぼすべての方が曲がっているものです。ですから、日常生活に支障がない限り鼻中隔が曲がっていても問題はありません。しかし、鼻の曲がり具合がひどいと左右どちらかの鼻の穴が極端に狭くなるため、鼻づまりが起こりやすくなったり鼻血が出やすくなったりするなどの弊害が現れます。こうなると、鼻中隔湾曲症という病名がつき、医学的な治療の対象となるのです。

2.鼻中隔湾曲症の弊害とセルフチェック

鼻中隔湾曲症はそれだけで命に別状がある病気ではありません。ただし、どちらかの鼻の穴が狭くなると空気の通りが悪くなって細菌が繁殖しやすくなります。すると、鼻腔周辺にある副鼻腔という空洞内が炎症を起こす可能性が高まるのです。このような症状を、副鼻腔炎といいます。副鼻腔炎は迅速に治療を行えば完治が難しい病気ではありません。

しかし、鼻中隔湾曲症の方が副鼻腔炎が発症すると再発をくり返し、慢性化しやすいのです。また、花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎を発症すると鼻の粘膜が腫れ上がることがあります。鼻中隔湾曲症の方は片方の鼻の穴が狭いので粘膜が腫れれば鼻の穴が塞がりやすく、炎症が悪化しやすいのです。

片方の鼻だけ鼻づまりが起こりやすかったり、鼻血が出やすかったりする場合や副鼻腔炎を頻繁に発症する場合・いびきがひどい場合は鼻中隔湾曲症の可能性があります。一度耳鼻咽喉科を受診してみましょう。

3.鼻中隔湾曲症の治療方法

この項では、鼻中隔湾曲症の治療方法をご紹介します。どんな治療方法があるのでしょうか?

3-1.鼻中隔湾曲症の診断方法

自分は鼻中隔湾曲症ではないかと思っている方は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。耳鼻咽喉科では、視診・内視鏡検査・CT検査・鼻腔通気度検査などを行って鼻中隔湾曲症かどうかの検査を行います。ちなみに、鼻腔通期度検査とは鼻の通り具合を機械を使って測定する検査です。これら検査を行うことで、どの程度鼻中隔が曲がっているかも分かります。

3-2.治療方法

鼻中隔湾曲症の治療方法には、薬物治療と手術があります。薬物治療は主に手術を望まない方に行われる治療法で、鼻づまりが起こるたびに点鼻薬を利用して解消する治療方法です。鼻づまりが起こってもすぐに解消し続けることができれば、副鼻腔炎を発症する可能性も低くなります。しかし、点鼻薬による治療は対症療法です。また、頻繁に鼻づまりをくり返す方やアレルギー性鼻炎を発症している方には点鼻薬による薬物療法は使えません。

手術は、曲がっている鼻中隔をまっすぐに伸ばす方法です。正式名称を鼻中隔矯正術といい、鼻の粘膜を焼いて副鼻腔炎等の治療を行う鼻粘膜焼灼術と併せて行われることもあります。手術は日帰りで行うこともありますが、鼻中隔の湾曲具合によっては1泊2日~最大で1週間ほどの入院が必要となることもあるので、医師とよく相談して手術するかどうか決めてください。

なお、鼻中隔湾曲症は健康保険が適用になります。費用は入院費を含めて10万円前後が一般的です。入院保険などに入っている場合は、入院をすると保険金の支払い対象にもなります。

3-3.手術の方法と手術後の過ごし方

美収穫矯正術は、余計な軟骨を切り取ったり矯正したりする手術です。鼻中隔の曲がり具合が大きな方ほど手術時間も長くなる傾向にあります。ですから、事前に医師の説明をよく聞いておきましょう。手術は、部分麻酔で行うため全身麻酔を使うよりも体への負担は少なくなります。

手術が終わったら、1週間ほどガーゼを鼻の穴に詰めたまま生活するのが一般的です。この間は当然鼻呼吸はできませんので、不快感はあります。また、鼻に強い衝撃を加えると鼻の形が変わってしまうこともあるのです。ですから、重症な鼻中隔湾曲症の場合は入院して安静に過ごすことをすすめられるでしょう。入浴や食事などに制限はありません。1週間ほどたったら鼻からガーゼを抜き取り、中をクリーニングして手術は終了です。

3-4.耳鼻咽喉科の選び方

鼻中隔湾曲症の手術は行っている病院が限られています。今は、ホームページを開設している病院も多いので、鼻中隔湾曲症の手術を行っている病院を探して受診してみてもよいでしょう。かかりつけの耳鼻咽喉科がある場合は、まずそこで鼻の中の様子を見てもらってください。その病院が手術を行っていない場合は、総合病院などに紹介状を書いてくれます。

なお、鼻中隔湾曲症の治療には時間がかかることも多いでしょう。そのため、通いやすい病院を選んでください。いくら評判の良い病院でも、通うのに手間のかかる場所にある場合は、おすすめできません。

4.鼻中隔湾曲症に関するよくある質問

Q.鼻中隔湾曲症は、大人にならないと発症しないのでしょうか?
A 鼻中隔は成長の途中でだんだんと曲がっていくため、子どもの場合、手術が必要になるほど曲がることはありません。患者さんのほとんどが成人です。

Q.高齢者でも鼻中隔矯正術を受けることはできますか?
A.健康状態がよければ問題ありません。医師と相談した上で手術をしましょう。

Q.副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎以外に鼻中隔湾曲症の弊害はありますか?
A.鼻の穴が狭くなっているため、いびきをかきやすくなることも多いでしょう。いびきのひどさを理由に耳鼻咽喉科を受診し、鼻中隔湾曲症だと診断された例もあります。

Q.鼻中隔湾曲症ですが、アレルギー性鼻炎になりやすいのでしょうか?
A.アレルギーと鼻中隔湾曲症は直接関係ありませんが、重症化しやすくなります。

Q.仕事に穴を開けたくないので日帰り手術が希望です。可能でしょうか?
A.症状によっては日帰り手術が難しい場合もあります。医師と相談してください。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は鼻が曲がっていると発症しやすくなる病気や鼻中隔湾曲症についてご紹介しました。鼻中隔湾曲症自体は決して珍しい病気ではありません。また、経験豊富な医師が手術を行えば、外見からは分かることなく矯正が行えます。つらい鼻づまりがしょっちゅう起こっているという場合は、一度耳鼻咽喉科を受診してみましょう。手術をして鼻中隔を矯正すれば、つらい鼻づまりから解放されますよ。

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川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
川村繁樹

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