妊娠中の鼻炎薬は大丈夫? 妊娠期間中の花粉症対策は?

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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妊娠中は免疫力が低下して病気になりやすい体質へと変化するものです。長期間鼻の粘膜に炎症が起きている「慢性鼻炎」は注意しなければなりません。慢性鼻炎で悩んでいる妊婦はぜひチェックしてください。これから、妊娠中の鼻炎薬の使用について、妊娠期間中の花粉症対策、初期症状や緩和する方法を詳しく説明します。

  1. 妊娠中の鼻炎薬の使用について
  2. 妊娠期間中の花粉症対策
  3. 初期症状や緩和する方法
  4. まとめ

1.妊娠中の鼻炎薬の使用について

今年、4年ぶりに鼻アレルギーの診療ガイドラインが改定されました。その目立った変更点は妊婦や授乳中の薬剤使用方法です。それによりますと、原則的に2〜4ヶ月は内服も点鼻も控えた方がいいです。それ以降、つまり妊娠5ヶ月以降に使うとしたら、こんな薬が良いですよという候補があります。

これは日本独自の基準ではなくて、オーストラリア基準と米国のFDA基準というのを参考にしています。その中でほぼ安全なのは商品名で言うとポララミン、アレルギン、レスタミン、ベガ、ペリアクチン、タベジールあたりです。いずれも第Ⅰ世代の抗ヒスタミン薬であり、眠気、だるさ、口の渇きなどなど副作用も多いという欠点があります。

出来ればより副作用の少ない第2世代から選びたいところであり、となるとクラリチン、ジルテックが候補となるでしょう。この2剤の比較では、抗ヒスタミン作用の強いのはジルテック、眠気の少ないのがクラリチンです。 また、ジルテックからより眠気の副作用を取り除いといわれるザイザルもFDA基準ではBの評価であり、使って良いものと思います。

さらに赤ちゃんや母乳に対する安全性もあわせて考えるとクラリチン、ジルテック、ザイザル当たりが安産性が高そうです。

また薬の投与方法としては内服よりも点鼻の方が血中濃度が上がらず、よりお腹の赤ちゃんには安全といわれています。
そのためオーストラリア基準でB3、FDA基準でCでありながらも、アルデシンAQネーザル、フルナーゼ、ナゾネックス、アラミストなどのステロイド点鼻も使って良いものと思われます。

2.妊娠期間中の花粉症対策

2-1.外出するときはマスクやめがねをつける

慢性鼻炎の症状が出ている人は、入念に花粉症対策をしなければなりません。妊娠中でもそとに出かけることがあると思います。外出するときは必ずマスクやめがねをつけてください。

特に、マスクは必要不可欠です。薬局などでは小さい花粉でもカットできるタイプが販売しています。マスクを必ず身につけて花粉の侵入をカットしましょう。

そして、そとから帰ってきたときは衣類や髪の毛についている花粉を取りのぞいてから家の中に入ってください。しっかり取りのぞかなければ家の中に花粉を招き入れてしまいます。花粉が飛んでいる時期は換気にも気をつけなければなりません。極力窓を開けないように心がけましょう。

2-2.妊娠中でも安心して飲める薬を処方してもらう

最初に妊娠中の鼻炎薬服用は危険だと説明しました。しかし、妊娠中でも安心して飲める薬はあります。人それぞれ体質や状況が異なるため、必ずしも安心とは言えません。安心して飲める薬があるかどうか、医師に相談してください。そして、安心して飲める薬があれば処方してもらいましょう。

症状が軽い場合はできるだけ自然治癒力で改善したほうが良いです。ひどい症状の場合だけ、薬を利用してください。自分の状態をより詳しく専門の先生に伝え、現状に合った薬を処方してもらいましょう。自己判断で行動してはいけませんよ。さらに症状が悪化する恐れがあるため、必ず専門の医師に相談してくださいね。

3.初期症状や緩和する方法

3-1.知るべき慢性鼻炎の初期症状

慢性鼻炎の初期症状は主に「くしゃみ」や「鼻づまり」です。何週間も症状が続くようであれば「慢性鼻炎」の傾向があると思ってください。慢性鼻炎が長く続くほど負担が大きくなるので注意しなければなりません。慢性鼻炎が初期症状のうちに改善する必要があります。今まで鼻炎の症状が出なかった人でも安心してはいけませんよ。妊娠してから症状が出た人もいます。

原因は人によってさまざまですが、ホルモンバランスの乱れ、鼻の構造、生活習慣など多種多様です。自分の原因を把握するためにも1度耳鼻科に診せてください。

3-2.症状を緩和する方法

慢性鼻炎の症状を緩和するため、自分でできる対策はたくさんあります。妊娠中の体に注意を払いながらできることをしていきましょう。たとえば、花粉がついた手をしっかり洗う、うがいをする、毎日掃除するなどさまざまな方法があります。

また、どうしても症状が緩和できないときは鼻を温めてください。ゆっくり横になって加湿器や温かいタオルで鼻を温めましょう。鼻のとおりが良くなり、血行促進効果もあるためスムーズに呼吸ができるのです。しかし、自分たちでできる対策には限界があります。自分の体調や赤ちゃんのことを考えながら医師と相談して治療をすすめてください。

4.まとめ

妊娠中の鼻炎薬の使用や妊娠期間中の花粉症対策、初期症状や緩和する方法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。妊娠中でつらい時期になっているからこそ、慢性鼻炎を解消しなければなりません。鼻づまりで眠れない日々が続くと体だけでなく、精神的なストレスも抱え込んでしまいます。できるだけ早めに解消してくださいね。

  • 体調不良になる恐れがある
  • つらい時期だからこそ専門の医師に相談する
  • 外出するときはマスクやメガネをつける
  • 妊娠中でも安心して飲める薬を処方してもらう

以上のポイントはぜひチェックしてください。妊娠中は普通の体とは違います。体質が変化しやすく体へのダメージが強くなるのです。だからこそ、入念に対策していかなければなりません。自分でできる花粉症対策はもちろん、耳鼻科で専門の医師に症状を診てもらいましょう。そして、自分の体質・状況に合った治療をすすめてくださいね。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績