好酸球性副鼻腔炎の症状や原因とは?手術を含めた治療法も紹介します。

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好酸球性副鼻腔炎は、1990年代から患者が増加し始めた副鼻腔炎の一種です。通常の副鼻腔炎とは異なり、白血球の一種である好酸球が副鼻腔にまん延することで発生します。気管支喘息・アスピリン不耐症・薬物アレルギーの方が発症しやすく、2015年(平成27年)には難病法によって指定難病に指定されました。

今回は、好酸球性副鼻腔炎の原因や手術を含めた治療法などについて紹介しましょう。

  1. 好酸球性副鼻腔炎とは?
  2. 好酸球性副鼻腔炎のセルフチェック
  3. 好酸球性副鼻腔炎の治療法
  4. 好酸球性副鼻腔炎の症状が悪化しないための注意点
  5. 耳鼻咽喉科の選び方
  6. 好酸球性副鼻腔炎に悩んでいる方のよくある質問

通常の副鼻腔炎との違いや治療法が分かれば、不安になったり悩んだりせずにすみます。自分が好酸球性副鼻腔炎かもしれないと思っている方や、現在好酸球性副鼻腔炎の治療を受けている方はぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.好酸球性副鼻腔炎とは?

はじめに好酸球性副鼻腔炎の原因や症状・一般的な副鼻腔炎との違いについてご紹介します。一般的な副鼻腔炎とは何が違うのでしょうか?

1-1.好酸球性副鼻腔炎とは?

好酸球性副鼻腔炎は、鼻腔内に鼻たけと呼ばれる良性のポリープが多発し、手術をしても再発しやすい難治性の副鼻腔炎です。鼻をかんでも取りきれない粘性の高い鼻水もたくさん出るため、ひどい鼻づまりも起こります。それに伴い、嗅覚が鈍化してやがて匂いを全く感じられなくなる方も珍しくありません。

1-2.一般的な副鼻腔炎との違いとは?

一般的な副鼻腔炎は、副鼻腔内にウィルスや細菌が感染することによって発症します。年齢、性別を問わずに発生し、治療には抗生物質が使わることが一般的です。鼻たけは慢性化したり重症化したりしないと発生しません。

一方、好酸球性副鼻腔炎の場合は現在のところ成人しか発症が確認されていない病気です。また、鼻たけができて初めて鼻炎の発症に気づく方もたくさんいます。鼻たけは手術で切除しても再発することが多く、ステロイド剤が治療に効果的です。

好酸球性副鼻腔炎の場合は、気管支喘息の合併症として現れることが多いです。その理由として、好酸球性副鼻腔炎になる人は気道の分泌物に好酸球が多く含まれているからだと言われています。上気道分泌物、すなわち鼻汁に好酸球が多いと好酸球性副鼻腔炎になりますし、下気道の分泌物、すなわち痰に好酸球が多いと喘息になります。

好酸球性副鼻腔炎も性別を問わずに発生しますが、現在のところ、男性の方が発症率が高い傾向にあります。

1-3.好酸球性副鼻腔炎の患者数はどのくらい?

現在、副鼻腔炎の患者は日本に100万人~200万人程度いるといわれています。そのうち、鼻たけができるほどの重症患者は20万人ほどです。その中で、好酸球性副鼻腔炎が原因で鼻たけができていると思われる方は、約2万人いるといわれています。副鼻腔炎患者全体の1%ほどです。

指定難病に指定された時期も新しいためまだ認知度も低く、一人で悩んでいる方もいます。

1-4.好酸球性副鼻腔炎を発症するリスクが高い人とは?

  • 気管支喘息を患っている
  • アスピリン不耐症である
  • 薬にアレルギーがある
  • 成人男性

これらの特徴に当てはまる方は、好酸球性副鼻腔炎を発症するリスクが高い傾向にあります。ただし、気管支喘息は副鼻腔炎を同時に発生するケースもあれば、先に副鼻腔炎を発生するケースもあるのです。

1-5.好酸球性副鼻腔炎を放置しておくとどうなるのか?

好酸性副鼻腔炎を放置しておくと、鼻たけがどんどん成長します。特に、風邪症候群やインフルエンザなど鼻づまりや鼻水といった症状がでる感染症にかかると状態が悪化しやすいのです。重症化すると、鼻の穴から鼻たけがあふれそうになることもあります。

また、鼻づまりが起こると鼻呼吸ができなくなり、匂いを感じ取りにくくなるのです。そのため、嗅覚障害が起こったり体の酸素不足による頭痛や集中力の低下も起こったりします。

2.好酸球性副鼻腔炎のセルフチェック

  • 鼻の中にぶよぶよとした塊が複数できた
  • 風邪をひいたらぶよぶよとした塊が大きくなった
  • 粘性のある鼻水が出るようになり、かんでも取れにくい
  • 匂いが感じ取れなくなった
  • 風邪でもないのにひどい咳が長期間止まらなくなった

このような症状が出ている方は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。特に好酸球性副鼻腔炎と気管支喘息が同時に発症した場合は、呼吸器官のトータルケアが必要になります。

3.好酸球性副鼻腔炎の治療法

この項では、好酸球性副鼻腔炎の治療法をご紹介します。手術の他にはどのような治療法があるのでしょうか?

3-1.好酸球性副鼻腔炎の治療法その1 投薬治療

好酸球性副鼻腔炎の治療には、投薬と手術があります。一般的な副鼻腔炎と違い、細菌やウィルスが原因ではないため、抗生物質は効果がなく、ステロイド剤が使用されるのです。ただし、風邪などの感染症を併発している場合はまず抗生物質を投与して感染症を直してから、副鼻腔炎を治療します。

ステロイド剤を内服すると鼻たけが縮小し、鼻づまりが改善するのです。症状が軽減したらいったん投薬を中止し、経過を観察します。

ステロイド剤は長期間の投与や大量の投与で、不眠・消化不良・食欲増進・むくみ・生理不順といった副作用が起こる薬です。そのため、服用は必ず医師や薬剤師の指示通り行い、勝手に服用量を増やしたり服薬を中断してはいけません。

3-2.好酸球性副鼻腔炎の治療法その2 手術

好酸球性副鼻腔炎にはいろいろな程度があります。その程度は血中や粘膜中の好酸球の割合や喘息の合併、解熱鎮痛剤に対するアレルギーの有無、炎症の程度などで分けられますが、軽症の場合は手術で改善して、ステロイドなどをほぼ使わなくてもいい状態になることも少なくありません。

ただし、重症の場合は手術をしても、再発してしまうこともあります。そのため、手術をしたら完治ということはありません。再発を防ぐ治療を継続的に行っていく必要があります。

3-2-1.手術の方法など

内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)は、体に負担の少ない手術です。症状によっては局部麻酔をして、日帰り手術もできます。症状が重い場合は全身麻酔で行い、数日の入院が必要になりますが、この辺りは医師と相談して決定しましょう。手術は長くても2時間以内に終わります。

3-2-2.手術費用

内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)は健康保険が適用になります。また、好酸球性副鼻腔炎は指定難病に指定されているため、条件を満たせば治療費の負担が少なくてすむのです。

3-3.鼻洗浄

鼻洗浄とは文字どおり鼻を洗浄する治療法で、手術後に鼻たけの再発防止を目的として行われます。専用の洗浄液を用いて行い、病院で行うものと、自宅で行うものの2種類があるのです。最初は病院でやり方の指導を受け、後は自宅で行うというケースもあります。

鼻洗浄は継続して行わないと効果が期待できません。そのため、医師から自宅で鼻洗浄を行うように指示されたら必ず従いましょう。

4.好酸球性副鼻腔炎の症状が悪化しないための注意点

この項では、好酸球性副鼻腔炎の症状が悪化しないための注意点をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

4-1.定期的に耳鼻咽喉科を受診する

好酸球性副鼻腔炎は、一般的な副鼻腔炎と異なり完治がとても難しい病気です。小康状態になったからといって油断をしているとあっという間に症状が再発する危険性もあります。そのため、定期的に耳鼻咽喉科を受診して鼻の中の状態をチェックしてもらいましょう。

4-2.鼻づまりや鼻水が症状として出る感染症にかからないように注意する

風邪やインフルエンザなどの感染症にかからないように注意することも大切です。前述したように鼻に症状が出る感染症にかかると副鼻腔炎の症状が悪化します。予防接種ができるものは予防接種を受け、マスクをしたり保湿に気を配ったりして感染症予防に努めましょう。

4-3.長く付き合う病気だということを自覚する

好酸球性副鼻腔炎は完治しにくく、再発しやすい病気です。症状が改善した後も、症状が悪化しないように投薬や鼻洗浄をしながら経過観察が続きます。症状が治まったからといって無理をしていると、鼻たけが再発したり好酸球性中耳炎という合併症が発症することもあるのです。

好酸球性副鼻腔炎は30代~50代の男性が発症しやすいといわれています。働き盛りで仕事が一番忙しい年代です。つい体を酷使してしまいがちですが、努めて早寝早起き・栄養バランスのとれた食事・適度な休息をとるように心がけてください。健康的な生活習慣が一番の悪化防止になります。健康的な生活は、好酸球性副鼻腔炎の予防にもなるのです。

4-4.やってはいけないこと

好酸球性副鼻腔炎は気管支喘息を患っている方が発症しやすい病気ですが、同時に発症することもあります。気管支喘息も好酸球性副鼻腔炎も初期症状は風邪とよく似ているのです。ですから市販薬を使って症状を改善しようとする方もいるでしょう。しかし、単なる風邪ならば、1~2週間もすれば、症状は治まります。それ以上続くならば、必ず耳鼻咽喉科を受診しましょう。市販薬で症状をごまかし続けてはいけません。

好酸球性副鼻腔炎を治療中の方は、独断で投薬を中断したり一度に飲む薬の量を増やしたりしないようにしましょう。

5.耳鼻咽喉科の選び方

好酸球性副鼻腔炎の疑いがある場合は、好酸球性副鼻腔炎の治療実績がある病院を選びましょう。今は、ホームページを開設している病院も多いので、それをチェックすれば治療実績が分かることもあります。また、好酸球性副鼻腔炎を発症すると、手術が必要になるケースが多いのです。そのため、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)も行っている病院を選びましょう。

6.好酸球性副鼻腔炎に悩んでいる方のよくある質問

Q.好酸球性副鼻腔炎をある日突然発症することはあるのでしょうか?
A.可能性はあります。特に、気管支喘息と同時に発症した場合は早急なケアが必要です。

Q.総合病院や大学病院でないと治療は受けられないのでしょうか?
A.現在は個人院でも治療実績が豊富な耳鼻咽喉科が増えてきています。個人院を受診し、大きな病院へ紹介状を描いてもらうこともできますので、まずは耳鼻咽喉科を受診してみてください。

Q.市販の点鼻薬で鼻づまりは解消できますか?
A.困難です。好酸球性副鼻腔炎による鼻づまりは鼻たけが原因のことがほとんどです。市販の点鼻薬では鼻たけを小さくしたり取り除く効果はほとんどありません。

Q.子どもが好酸球性副鼻腔炎を発症する可能性はあるのでしょうか?
A.現在のところ、好酸球性副鼻腔炎の患者は成人だけですが、今後は未成年の患者も発症するかもしれません。今のところ可能性は低いのですが、鼻づまりがひんぱんに起こる場合は定期的に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

Q.好酸球性副鼻腔炎に効果的なサプリメントはありますか?
A 現在のところありません。納豆が有効だという説もありますが、現時点では医学的根拠は明らかではありません。

7.おわりに

いかがでしたか? 今回は、好酸球性副鼻腔炎の原因や手術を含む治療方法などについてご紹介しました。一般的な鼻炎や副鼻腔炎と違い、難治性の病気ですから、長く付き合っていく必要があります。しかし、悲観する必要はありません。鼻洗浄や投薬によって症状を抑えておけば健康な人と変わらない生活が送れます。好酸球性副鼻腔炎はある日突然発症することもあるため、鼻の中がおかしいと思った時点で耳鼻咽喉科を受診しましょう。早めに治療を開始すれば、予後も良くなります。

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川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
川村繁樹

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