眠りが浅いと悩んでいる方必見! その原因と対処方法を解説します。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

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たっぷり眠ったはずなのに眠気が取れない。強い眠気にたびたび襲われるため、日中の生活に支障が出て困っている。こんな悩みを抱えている方はいませんか? 日中の強い眠気は、夜の眠りが浅いことが原因の可能性があります。正常な睡眠は、深い眠りと浅い眠りが交互にくり返されるのです。しかし、何らかの原因で深い眠りに入ることなく目が覚めると、睡眠時間が長くても眠気が取れません。

そこで、今回は眠りが浅くなる原因とその対処方法をご紹介しましょう。

  1. 眠りに関する基礎知識
  2. 不眠の種類や自分で行える改善方法
  3. 病院を受診した方がよい症状とは?
  4. 睡眠時無呼吸症候群の原因や治療方法とは?
  5. 眠りが浅い原因に関するよくある質問

この記事を読めば、日中に襲われる強い眠気の解消方法が分かるかもしれません。眠りが浅いという実感がある方や夜中によく目が覚めるという方も、ぜひ読んでみてくださいね。


1.眠りに関する基礎知識

はじめに、眠りの種類や質の良い睡眠とはどのようなものか、ということをご紹介します。良質な眠りのメカニズムとはどのようなものでしょうか?

1-1.睡眠の種類とは?

私たちの眠りには、レム睡眠と呼ばれる浅い眠りとノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りの2種類があります。レム睡眠中は眼球が激しく左右に動いており、体は眠っていても大脳はある程度覚醒していると考えられているのです。

一方、ノンレム睡眠中は眼球が動くことはほとんどありません。この睡眠中は大脳も活動を休んでおり、脳を休めるための睡眠と考えられています。人は眠った直後はレム睡眠となり、そこから20分ほどかけてノンレム睡眠に入り、60分ほどした後で再びレム睡眠に移行するのです。レム睡眠からノンレム睡眠に入り、再びレム睡眠に戻るまでの時間は、90分~110分ほどといわれています。

質の良い睡眠とは、レム睡眠とノンレム睡眠を1晩に3~5回くり返し、覚醒することが理想です。このような睡眠を取るためには、7時間以上の睡眠時間が必要になります。

1-2.浅い睡眠とは?

浅い睡眠とは、レム睡眠のことを指します。何らかの原因で脳が睡眠中も活発であり続けたり睡眠中に何度も覚醒したりすると、ノンレム睡眠に入ることができず、一晩中レム睡眠が続くことになるでしょう。このような場合は、睡眠時間が長くてもすっきりとした目覚めになりません。また、ノンレム睡眠から急激に覚醒した場合も、眠気が取れにくいでしょう。

1-3.眠りが浅くなる原因とは?

眠りが浅くなる原因は、さまざまです。前述したように睡眠が何度も中断されると、ノンレム睡眠に入りにくくなります。この他、心配事やストレスなど心理的な原因・身体的、精神的な病気・睡眠時間が不規則になりやすいなど生理的な原因でも、眠りは浅くなるでしょう。

眠りが浅くなること自体は、誰にでも経験があることです。しかし、眠れなかったり質の悪い睡眠が長期間続いたりすると、日常生活にも悪影響が出るでしょう。次の項で、不眠の種類や問題点などをより詳しくご紹介します。

2.不眠の種類や自分で行える改善方法

この項では、不眠の種類や自分で行える改善方法などをご紹介します。毎日行っている何気ない習慣が、眠りを浅くする原因となることもあるのです。

2-1.不眠の種類とは

不眠というと、いつまでたっても寝つけない症状というイメージがあります。もちろんそれも不眠の一種ですが、これ以外にも、眠ってから数時間後に目覚め眠れなくなる中途覚醒や、朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒、熟睡できた気分がしない熟睡感欠如などが不眠の代表的な症状です。これらは、単独で起こることもあれば組み合わさって起こることもあります。不眠といっても、全く眠れなくなるという方は、意外と少ないのです。眠りが浅くなるのも、不眠の一種といえるでしょう。

2-2.生活習慣が眠りを浅くすることもある

前項でストレスや病気・生理的な原因が不眠の原因とご説明しましたが、何気なく行っている生活習慣が眠りを浅くする原因となっていることもあります。

眠る前に布団の中でスマートフォンを見ている、という方も多いでしょう。実は、スマートフォンや携帯ゲーム機から出るブルーライトは、交感神経を刺激して脳を活性化する効果があります。ですから、眠る直前までブルーライトを浴び続けると、レム睡眠が長引いてノンレム睡眠に入りにくくなるでしょう。その結果、眠りが浅くなりがちです。

この他、運動不足やカフェインの取りすぎなども眠りを浅くする原因となります。また、眠る直前に食事を摂ると、眠っている間も胃腸は消化吸収を行うことになり、やはり睡眠が浅くなるでしょう。

2-3.自分でできる睡眠の改善方法

  • 眠る1時間前にはスマートフォン・パソコン・テレビ・携帯ゲームをやめる
  • お風呂にゆっくり入り、血行をよくする
  • 眠る前にものを食べない、空腹でがまんできない場合はホットミルクを飲む
  • 夕食後の飲み物は、ほうじ茶や麦茶などノンカフェインのものにする
  • 毎日できるだけ同じ時間に布団へ入る

このようなことを行えば、質の良い眠りが得られるでしょう。仕事が忙しく睡眠時間が短くなってしまうという方も、寝る前のスマートフォンをやめ、お風呂にゆっくりと入るだけでぐっすりと眠りやすくなります。

2-4.やってはいけないこと

眠れないからと、睡眠薬代わりにお酒を飲む方がいますが、飲酒は睡眠の質を悪化させます。また、お酒を飲んで眠る習慣をつけてしまうと、アルコール依存症になる危険もあるのです。眠れないから、とお酒に頼るのはやめましょう。

3.病院を受診した方がよい症状とは?

この項では、病院を受診した方がよい症状や、受診する診療科などをご紹介します。どのような症状が当てはまるのでしょうか?

3-1.このような症状が出た場合は、病院へ

  • 前述したような睡眠の改善方法を試しても、全く症状が改善しないまま1か月以上がたった
  • 眠ろうとすると足がムズムズするなど、不快な症状が出て改善する兆しが全くない
  • 関節の痛みや皮膚のかゆみ・鼻づまりなどの不快な症状で眠れない
  • 眠りが浅くなる他、やる気が出なかったり食欲が落ちたりする
  • 糖尿病である
  • ひどいいびきを家族から指摘されるようになった

このような症状の場合は、身体的、精神的な病気を発症している可能性があります。病気が原因で不眠になったり眠りが浅くなったりする症状は睡眠障害といい、治療の対象となるのです。一度病院を受診しましょう。

3-2.何科を受診するべき?

最近は不眠に代表される睡眠障害を専門に診察する、睡眠外来も増えてきました。眠れない、眠りが浅いというのが主な症状の場合は、睡眠外来や心療内科などを受診しましょう。関節の痛みがある場合は整形外科、皮膚のかゆみが原因で眠れない場合は皮膚科、鼻づまりが睡眠を妨げているのならば耳鼻咽喉科を受診してください。

高齢者の場合は、認知症が原因で眠りが浅くなったり不眠になったりすることがあります。この場合は、まずかかりつけ医に相談をして必要ならば専門医への紹介状を書いてもらいましょう。

3-3.特に注意が必要な病気

家族にひどいいびきを指摘されたり、日中、何度も耐えがたい眠気に襲われる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠時無呼吸諸侯群とは、何らかの原因で上気道が狭くなり、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんはひどいいびきをかく方が多いのですが、これは上気道が狭くなっているために起こります。上気道が塞がってしまえばいびきも止まりますが、同時に呼吸も止まっているのです。

呼吸が止まれば苦しくなりますから目が覚めます。これが一晩中くり返されるため、眠りが浅くなって日中に耐えがたい眠気に襲われるのです。睡眠時無呼吸症候群は眠りの浅さ以外に自覚症状がない方もおり、日常生活に支障が出てからやっと治療に来られる方もいます。

4.睡眠時無呼吸症候群の原因や治療方法とは?

この項では、睡眠時無呼吸症候群という病気についてもう少し詳しくご紹介します。どのような治療方法があるのでしょうか?

4-1.睡眠時無呼吸症候群の原因とは?

睡眠時無呼吸症候群は、肥満によって上気道が細くなったり扁桃腺やアデノイドが肥大して発症する例が最も多い病気です。この他、舌が生まれつき大きかったりあごが小さかったりしても、発症することがあります。また、心臓の機能が低下していると脳から呼吸指令が出なくなり、睡眠時無呼吸症候群を発症することもあるでしょう。

4-2.睡眠時無呼吸症候群の弊害

睡眠時無呼吸症候群を発症すると、前述したように眠りが頻繁に妨げられます。すると、ノンレム睡眠に入ることができないまま朝を迎え、脳が休まりません。その結果、日中に耐えがたい眠気に襲われたり、眠ってはいけない時に眠ってしまったりするようになります。

また、因果関係はまだ分かりませんが、睡眠時無呼吸症候群を発症すると2型糖尿病の発症率が1.62倍になることが分かっているのです。

4-3.睡眠時無呼吸症候群の診断

睡眠時無呼吸症候群は、耳鼻咽喉科や呼吸器科・睡眠外来などで診断と治療が行われます。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まず自宅で簡易検査機器をつけて酸素飽和度やいびき音から気道の狭まり具合を調べる検査を行うことが一般的です。この結果で睡眠時無呼吸症候群である可能性が高い場合は、1泊入院をして精密検査を行います。

4-4.睡眠時無呼吸症候群の治療方法

睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、CPAP装置と酸素マスクを使い、寝ている間気道に空気を送り続けるCPAP療法、マウスピースを使ってあごを広げる療法、肥大した扁桃腺やアデノイドを外科的な手術で取り除く治療法が一般的です。このうち、最も広く行われているのが、CPAP療法になります。

CPAP装置は健康保険を適用してお手ごろな値段でレンタルが可能です。酸素マスクを着けて寝られるまでには少し時間がかかりますが、慣れれば睡眠の質は大幅に改善されるでしょう。

あごの形が原因の場合は、睡眠時無呼吸症候群の治療を行っている歯科医院で専用のマウスピースを作ってもらいます。外科手術は、耳鼻咽喉科で行うことが一般的です。こちらも健康保険が適用になります。睡眠時無呼吸症候群の治療は時間がかかりますので、焦らずに続けて行くことが大切です。

5.眠りが浅い原因に関するよくある質問

Q.高齢になるにしたがって、不眠になりやすくなるというのは本当ですか?
A.はい。高齢になるにしたがって眠りは浅くなります。そのため、睡眠薬に頼る高齢者も多いのです。年齢が高くなるにしたがって眠れない日が増えたという場合は、一度かかりつけ医に相談してみてください。

Q.睡眠薬は薬局で購入できますか?
A.できません。薬局で販売されているのは寝つきをよくする薬です。睡眠薬の購入には医師の処方箋が必要になります。

Q.睡眠薬は習慣性がつかないか心配です。
A.現在の薬は、長期間飲み続けない限り習慣性は付きにくくなっています。まずは眠りの質を改善する方が大切です。

Q.睡眠時無呼吸症候群は何歳くらいから発症しやすくなりますか?
A.中年太りが始まる35歳以降に発症者が増えますが、20代の患者さんもいますので、この年代以下は発症しないとはいい切れません。幼児や乳児以外はすべての年代で発症の可能性があります。

Q.睡眠時無呼吸症候群は男性の患者さんが多いというイメージがありますが、女性でも発症するのですか?
A.男性の患者さんは女性患者の2倍といわれていますが、女性の患者さんもいます。女性の場合は閉経後に発症率が上がる傾向にあるようです。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は、眠りが浅くなる原因と対処方法をご紹介しました。眠りが浅く日中の生活に支障が出る期間が長く場合は、一度病院を受診しましょう。眠れないと1人悩んでいても、問題は解決しません。特に、睡眠時無呼吸症候群の場合は一刻も早い治療開始が大切です。