口呼吸の悪影響と治し方について~鼻呼吸に改善するポイント~

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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私たちは当たり前のように呼吸をしています。基本的な呼吸のやり方は鼻から空気を吸いこむ“鼻呼吸”です。しかし、中には口から空気を吸いこむ“口呼吸”になっている人もいるでしょう。口呼吸はさまざまな悪影響をおよぼします。

そこで、口呼吸の悪影響と鼻呼吸による効果、口呼吸の治し方と注意点について説明しましょう。口呼吸で生活している人は、呼吸の仕方を改めてください。

  1. 口呼吸とはどのような状態なの?
  2. 自分は口呼吸? セルフチェック方法
  3. 口呼吸の悪影響
  4. 鼻呼吸による効果・メリット
  5. 口呼吸の治し方と注意点
  6. よくある質問
  7. まとめ

1.口呼吸とはどのような状態なの?

口呼吸とは、文字どおり口で呼吸をすることです。私たち哺乳類は本来鼻で呼吸をする生き物ですが、何らかの原因で鼻がつまっている場合は、口呼吸となってしまいます。人間は、乳児の頃に母乳やミルクを吸うことで鼻呼吸の訓練をするので、自然と鼻呼吸になるのです。しかし、鼻炎などで常に鼻がつまっている状態ですと、いつの間にか口呼吸が当たり前になってしまいます。また、口呼吸が当たり前になると口呼吸をする方が楽になってしまうこともあるでしょう。

2.自分は口呼吸? セルフチェック方法

  • いつの間にか口がぽかっと開いていることがある。もしくはそれを指摘された。
  • 口の中がいつも乾いている
  • 風邪をひきやすい
  • 鼻がつまっている

このような症状の寺格がある場合は、口呼吸の可能性があります。

3.口呼吸の悪影響

口で呼吸をする「口呼吸」にはさまざまなデメリットがあります。基本的に鼻呼吸で呼吸をしますが、口呼吸をしている人はいるでしょう。口呼吸は注意しておかなければなりません。そこで、改善するためにも口呼吸の悪影響を把握しておきましょう。

3‐1.虫歯・歯周病になりやすくなる

口で呼吸をしていると、常にそとの空気が口の中に入ってしまいます。そとにはさまざまな菌がたくさんただよっているものです。そとにただよっている菌が口の中に入り、虫歯や歯周病になる可能性があります。

また、口呼吸をするほど口の中が乾燥してしまいがちです。乾燥状態は非常に悪い口腔(こうくう)環境になってしまいます。口の中にある唾液が少なくなるのです。唾液は口の中にあるさまざまな菌を洗い流しやっつける効果があります。しかし、唾液がなくなると細菌の活動が抑制できません。よって、虫歯・歯周病の原因となる菌が繁殖しやすくなるのです。鼻呼吸よりも口呼吸をしている人のほうが虫歯・歯周病になる確率が高くなるでしょう。

3‐2.感染症・気管・肺に悪影響をもたらす

口呼吸の悪影響は虫歯・歯周病などの口腔(こうくう)問題だけではありません。体全体に悪影響をおよぼす危険もあります。たとえば、鼻呼吸よりも口呼吸のほうが菌は入りやすいです。よって、感染症や風邪にかかりやすくなる、乾燥した空気の侵入によって気管に悪影響をもたらす恐れもあります。気管だけでなく、呼吸に大切な肺にも菌が入ってしまうのです。肺に菌が入ってしまえば呼吸困難になる可能性もあります。最悪なケース、命を失う可能性もあるので注意しなければなりません。

3‐3.睡眠時無呼吸症候群や口臭の問題

“睡眠時無呼吸症候群”という病気をご存じでしょうか。寝ている間、無意識に無呼吸をしている症状のことです。口を無意識にあけながら寝ているため、自然とのどが下がってしまいます。のどの位置が下がるほどいびきがかきやすくなるでしょう。そして、いびきがひどくなると“睡眠時無呼吸症候群”になるのです。のどが気道をふさいでしまうため、空気を肺に取り入れにくくなります。睡眠時無呼吸症候群は死につながるとても怖い症状です。

また、口呼吸によって“口臭”問題も出てくるでしょう。口臭はなかなか自分で気づくことができません。話をするとき相手が嫌な思いをしてしまい、自信もなくなります。

4.鼻呼吸による効果・メリット

4‐1.睡眠の質が高くなる

口呼吸の悪影響について説明してきましたが、次は“鼻呼吸”の効果を紹介しましょう。呼吸の基本である鼻呼吸による効果やメリットは何なのか気になるものです。効果・メリットはたくさんありますが、主な効果は“睡眠の質が高くなること”にあります。口呼吸は十分な酸素を体内に取り入れることができません。十分な酸素を取り入れることができなければ、睡眠が浅くなります。しかし、鼻呼吸であれば十分な酸素が吸収できるのです。睡眠の質が高くなると毎日たまる疲れも取りのぞけるでしょう。

また、女性にとってうれしいお肌の再生も活性化します。肌トラブルで悩んでいる人は鼻呼吸に改善していきましょう。

4‐2.免疫力の向上、口腔環境の維持

鼻呼吸は虫歯・歯周病の予防にもつながります。口呼吸よりも唾液の量が増えるため、口の中にある菌の活動が抑制できるのです。健康的な口腔(こうくう)環境が維持できるでしょう。

また、鼻呼吸は“免疫力の向上”にもつながります。口呼吸は唇の筋肉が低下してしまうものです。唇の筋力低下と同時に、十分な酸素が吸収できないので自然と姿勢が悪くなります。肺が広がらないので姿勢が悪くなる、背中の筋肉が落ちてくるのです。姿勢が悪くなると血液の流れも悪くなってしまいます。血行不良になった結果、免疫力も低下するでしょう。しかし、口呼吸であれば十分に酸素を取り込むことができます。肺も広がるので姿勢が良くなるのです。

4-3.鼻呼吸は感染症予防になる?

鼻の穴には粘膜と鼻毛があり、ウィルスやホコリ・細菌などの侵入を防いでいます。ですから、鼻呼吸の方が感染症にかかりにくいというメリットがあるのです。

4-4.鼻呼吸の方が効率がよい

鼻は、呼吸に特化した器官です。ですから、口呼吸よりも効率よく呼吸ができます。そのため、集中力も高まり、疲れにくくなるでしょう。

5.口呼吸の治し方と注意点

5‐1.自分でできる治し方は「意識すること」

口呼吸から鼻呼吸に治すのはなかなか難しいものです。自分でできる治し方としては「意識すること」が最も効果的になるでしょう。「口を必ず閉じて鼻で呼吸する」を常に意識してください。

たとえば、電車に乗っているとき、歩いているとき、お風呂に入っているときなどふとした瞬間に意識することが大切です。5秒ほどかけてゆっくり鼻から息を吸いこみ、鼻から吸いこんだ息を吐き出します。鼻呼吸を意識するだけでもだいぶ変わるものです。できるだけ、毎日意識し続けてくださいね。

5‐2.専門の医療施設で治療する

口呼吸になる原因はさまざまですが、鼻の形が原因になっている可能性もあります。鼻の形が原因になっている場合は、専門の医療施設で治療するしかありません。また、もとからあごが小さい人やアレルギー性鼻炎を持っている人も1度専門の医療施設で検査してください。口呼吸の原因が何なのか、事前に把握しておかなければなりません。原因を把握してから適切な方法で治す必要があります。効率的に治療するためにも、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

また、口呼吸を改善するため、手術や歯科用マウスピースなどさまざまな方法があります。あなたの原因に合った治療法を受けることができるので安心です。できるだけ実績のある耳鼻咽喉科を選んでくださいね。実績があるところほど、さまざまな状況に合った治療法を見つけてくれます。

5-3.医療用テープを利用

長年口呼吸ををしていると、すでに無意識のレベルで口呼吸をするようになっています。起きている間は意識していても、寝ている間の口呼吸の改善は難しいでしょう。そのような場合は、寝ている時に医療用のテープで口をふさいでしまいます。最初は苦しいかもしれませんが、慣れれば鼻呼吸できるようになるでしょう。

5-4.口周りの筋肉を鍛える

口呼吸をしている人は、口があけっぱなしになっているため、口の周りの筋肉が未発達なことが多いのです。ですから、口を大きく動かして、「あいうえ」と言い、最後にべーと舌を出します。これをあいうえべー体操と言い、口の周りの筋肉を鍛える効果があるのです。この体操を1日5回ほどしてみましょう。自然と口が閉じられるようになります。

6.よくある質問

Q.子どもが口呼吸のようですが、どうしたらよいですか?
A.まず、鼻が通っているかどうか確認してください。鼻炎などで鼻がつまっている場合は治療し、口を開けているときはこまめに注意するようにしましょう。先にご紹介した「あいうえべー体操」も効果的です。

Q.大人でも口呼吸という人は多いのでしょうか?
A.はい。特にアレルギー性鼻炎や花粉症の人は、口呼吸になってしまいがちです。

Q.口呼吸は歯並びに影響あるというのは、本当でしょうか?
A.はい。口呼吸をしているとあごが発達しにくく歯並びが悪くなりがちになります。

Q.鼻呼吸に戻すまでにどのくらいの期間がかかりますか?
A.人によりますが、意識して鼻呼吸をしていれば、1か月くらいで効果がでてくるでしょう。

7.まとめ

口呼吸の悪影響や鼻呼吸による効果・メリット、口呼吸の治し方と注意点について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。口呼吸が長く続けば続くほど、デメリットが大きくなってしまいます。「睡眠時無呼吸症候群」になる可能性もあるので注意しなければなりません。口呼吸になる原因をふまえたうえで、自分でできる改善法を実践していきましょう。

  • 虫歯や歯周病になりやすくなる
  • 感染症や気管、肺に悪影響をもたらす
  • 睡眠時無呼吸症候群になる可能性がある
  • 睡眠の質が高くなる
  • 免疫力の向上、口腔(こうくう)環境の維持
  • 自分でできる治し方は「意識すること」
  • 専門の医療施設で治療する

以上は大切なポイントになります。自分で原因がわからない場合は専門の医療施設で検査してもらってください。検査の結果、鼻の形やアレルギー性鼻炎が原因になっている可能性もあります。効率的に治すためにも原因に合った治療法を続けていきましょう。場合によっては手術しなければなりませんが、長い目で治療を続けることが大切です。