鼻づまりが中耳炎の原因となるって本当? その対処法や予防法とは?

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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中耳炎とは、鼓膜の内側にある中耳という部分が炎症を起こす病気です。主に子どもが発症しやすく、決して珍しい病気ではありません。しかし、放置しておくと聴力が低下する場合があります。中耳炎の原因は複数ありますが、その中でも鼻づまりが原因で中耳炎を発症する方が多いのです。

そこで、今回は鼻づまりで中耳炎が発症する原因や対処法をご紹介しましょう。

  1. 中耳炎とはどんな病気?
  2. 鼻づまりと中耳炎の関係
  3. 中耳炎を発症したら?
  4. 鼻づまりから中耳炎に移行するのを防ぐ方法
  5. 中耳炎と鼻づまりについてよくある質問

原因や対処法が分かれば、中耳炎を事前に予防することができます。中耳炎と鼻水の関係について詳しく知りたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてください。


1.中耳炎とはどんな病気?

中耳炎とは、前述したように鼓膜の内側にある内耳が炎症を起こす病気です。急激に症状が出ることが特徴で、赤ちゃんや子どもがかかりやすい傾向にあります。赤ちゃんが急に機嫌が悪くなり、耳を気にする仕草を示す時は中耳炎を発症しているケースが多いのです。中耳炎の主な症状は

  • 強い痛み
  • 耳の聞こえにくさ
  • 膿の滲出

などがあります。重症になると鼓膜が勝手に破れて膿が外耳へと流れ出すこどもあるのです。中耳炎は適切な治療を受ければ、1~2週間で症状が改善します。しかし、治療せずに放っておいたり治療を途中でやめたりしてしまうと、聴力の低下を引き起こすこともあるのです。

2.鼻づまりと中耳炎の関係

この項では、鼻づまりと中耳炎の関連性をご紹介します。一体どのような関係があるのでしょうか?

2-1.中耳炎の原因とは?

中耳炎は、主に中耳へ雑菌が入りこんで炎症を起こすことで発症します。プールに入る機会が多い夏に中耳炎患者が増えるのは、雑菌混じりのプールの水が中耳に入りこむことが増えるからです。

2-2.鼻と耳のメカニズム

鼻と耳・そして口は体の中でつながっています。ですから、雑菌混じりの水や体液が鼻から入って中耳へ届くと中耳炎を発症しやすくなるのです。

2-3.鼻づまりとは?

鼻づまりとは、鼻水の粘度が増して鼻の外へうまく排出できなくなった状態です。鼻水は通常では水のようにさらさらとしており、鼻の中をうるおして異物や汚れを鼻の外へ押し出す役目を担っています。風邪をはじめとする感染症にかかると、鼻水はこれらを押し出そうとするのです。また、その時に細菌やウィルスと戦った白血球の死骸も押し出そうとします。つまり、雑菌やウィルス・白血球の死骸が鼻水の中に増えると粘度が増したり色がついたりするのです。

2-4.鼻づまりと中耳炎の関係

鼻づまりになると、鼻をかまないと鼻水が出てきにくくなります。しかし、鼻水をかめきれない状態だと鼻をすすることもあるでしょう。この時、鼻水が中耳の方へいくこともあります。前述したように、粘度を増した鼻水の中には細菌やウィルスがたくさん含まれているのです。そのため、鼻づまりが起こって鼻をすする回数も多くなると、中耳炎を発症しやすくなります。

2-5.鼻づまりが原因で中耳炎を発症しやすい年齢とは?

鼻づまりが起きると中耳炎を発症しやすいのは、赤ちゃんや小さな子どもです。まだうまく鼻をかむことができないので、鼻づまりが起こるとつい鼻をすすってしまいます。赤ちゃんや子どもは抵抗力が弱いので、中耳が炎症を起こしやすいのです。

また、子供の間は鼻と耳をつなぐ耳管が大人に比べて太く、短く、角度も水平に近いので鼻水が耳に行きやすくなっている事も子供に中耳炎が多い原因の一つです。

2-6.大人は中耳炎にならないの?

大人も中耳炎を発症することはあります。鼻をすする回数が多かったり、ストレスなどで抵抗力が落ちていたりすると中耳炎を発症しやすくなるでしょう。また、大人が中耳炎を発症すると子どもより痛みを感じにくいケースが多いのです。ですから、気がつかないうちに中耳炎が悪化して聴力が低下することもあります。風邪をひいて鼻づまりをした後で耳が聞こえにくいと思ったら、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。

3.中耳炎を発症したら?

この項では、中耳炎を発症した場合の治療方法をご紹介します。まず、何科を受診すればよいのでしょうか?

3-1.中耳炎かな? と思ったら

耳が聞こえにくかったり耳の中が痛かったりした場合は、中耳炎の可能性があります。できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。まだしゃべれない赤ちゃんや小さな子どもの場合は、機嫌を観察してください。耳が痛い場合は、機嫌が悪くなって耳を気にするそぶりを見せます。

また、急性中耳炎の場合は多くは熱を伴います。発熱後に耳を触るそぶりをする場合は中耳炎の可能性があるかもしれません。

耳鼻咽喉科を受診して医師に耳の中を診てもらえば、中耳炎か他の病気かはすぐに診断がつくでしょう。

3-2.中耳炎の治療方法

中耳炎の治療は鼓膜切開と投薬が中心です。ひどい痛みがある場合は、鼓膜を切開して中耳に溜まっている膿を出します。この時は局部麻酔を使いますので痛みはありません。鼓膜は時間たてばふさがります。その後は、点耳薬や飲み薬で炎症を鎮めていくのです。また、聴力の状態を知るために聴力検査を行う病院もあります。鼻づまりがまだ続いている場合は、鼻づまりの治療も同時に行われるのです。

3-3.中耳炎をくり返す場合

中耳炎は再発をくり返す病気です。子どもの場合は特に再発しやすく、年に何度も発症する方も珍しくありません。この場合、鼓膜に穴をあけてチューブを通す手術をすすめられることがあります。小さなチューブを鼓膜につけることで、中耳内に膿や浸出液(しんしゅつえき)がたまらなくなるのです。チューブ自体はとても小さいもので、聴力に影響もありません。2年ほどで取れて、鼓膜は自然にふさがるのです。手術は1泊2日で行われることがほとんどで、健康保険が適用されます。

3-4.治療を受ける際の注意点

中耳炎は、膿を抜いてもらったり痛み止めを飲んだりすれば痛みは消えます。しかし、完治するまでは最低でも1週間以上はかかる病気です。薬を出されたら必ず飲み切り、完治しているかどうかもう一度診察を受けましょう。

中耳炎の治療を途中で放り出してしまうと、滲出性中耳炎という慢性の病気へ移行することがあります。これは浸出液が中耳に溜まり続けるもので、痛みは少ないのですが、放っておけば中耳内部の組織が変形して聴力が低下する可能性があるのです。滲出性中耳炎は痛みが少なく、発症に気づかない方も珍しくありません。

3-5.耳鼻咽喉科の選び方

中耳炎は、ほぼすべての耳鼻咽喉科で治療を受けられます。鼻づまりと中耳炎を同時に発症している場合は、こまめな通院が必要のため、できる限り通いやすい場所の病院を選びましょう。

4.鼻づまりから中耳炎に移行するのを防ぐ方法

この項では、鼻づまりが原因の中耳炎を防ぐ方法をご紹介しましょう。ぜひ参考にしてくださいね。

4-1.鼻水をすすらない

鼻水が原因の中耳炎を予防するためには、鼻水はすすらずにかみましょう。この際、鼻は片方ずつ静かにかむのがコツです。まだうまく鼻がかめない子どもや赤ちゃんの場合は、薬局に売っている鼻吸い器を利用しましょう。1日に何度かまとめて取るだけで、中耳炎を予防することができます。

4-2.子どもの場合は、鼻づまりが起きたら病院を受診する

鼻づまりは誰もが経験したことのある体の不調なので、鼻づまりが起きても治るまで放っておくという方も多いでしょう。大人ならそれでも大丈夫ですが、子どもや赤ちゃんの場合は念のために耳鼻咽喉科を受診しましょう。鼻水を吸ってもらえるだけで違いますし、中耳炎を発症してもすぐに治療ができます。

4-3.鼻づまりを解消するコツ

鼻づまりを解消するためには、血行をよくすることが重要です。お風呂に入ったり鼻の上に蒸しタオルを当てたりすると、一時的に鼻づまりが解消するので、鼻がかみにくい時が多いという方は、実践してみてください。お湯を張った洗面器の上にシーツなどをかぶりって覆いかぶさり、湯気を鼻から吸うのも効果的です。

4-4.やってはいけないこと

鼻を強くかみすぎると鼻の粘膜が傷つきます。また、鼻水も思ったように取れません。ですから、鼻は優しくかみましょう。また、鼻づまりを解消するスプレーなどが市販されていますが、これを使う場合は用法と用量を守ってください。鼻づまりを解消する点鼻薬を乱用すると鼻の粘膜が乾くドライノーズを発症するおそれがあります。

5.中耳炎と鼻づまりについてよくある質問

Q.中耳炎になりやすい体質などはあるのでしょうか?
A.中耳と鼻を繋ぐ耳管という部分が生まれつき細い方は中耳炎を発症しやすい傾向にあります。

Q.子どもは成長するにつれて中耳炎を発症しにくくなるのでしょうか?
A.はい、成長するにつれて発症しにくくなります。しかし、全く発症しなくなるということはありません。

Q.風邪が治ったのに鼻づまりだけが治らないのですが、中耳炎を発症しやすくなるのでしょうか?
A.鼻づまりが長引く場合は、副鼻腔炎を発症している可能性があります。できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。

Q.滲出性中耳炎を発症した場合、特徴的な症状は出ますか?
A.耳が聞こえにくくなるのが最大の特徴です。子どもが呼びかけても振り向かなくなることが増えたり。テレビの音量を大きくしたりするようになったら耳鼻咽喉科を受診しましょう。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は鼻づまりと中耳炎の関係についてご紹介しました。鼻づまり由来の中耳炎はくりかえしやすい傾向にあります。一度鼻水が原因で中耳炎を発症した場合は、鼻風邪を引いたらすぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。特に、子どもが小さいうちはよく注意をして様子を観察してください。夜中など病院が開いていない時間に痛がり出した場合は、患部を冷やしてあげると落ち着きます。