鼻中隔湾曲症がいびきの原因? 対策と治療法を徹底解説!

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

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1.鼻中隔湾曲症といびきの関連性は?

まずは、鼻中隔湾曲症といびきの関係性についてチェックしていきましょう。

1-1.鼻中隔湾曲症はいびきをかきやすい?

鼻中隔が曲がっていると片方の鼻の穴が極端に狭くなり、「いびき」をかくようになります。いびきにはさまざまな原因があるため、必ずしも、いびき=鼻中隔湾曲症が原因というわけではありませんが、いびきをかきやすいのは事実です。

1-2.主な原因とメカニズム

鼻中隔は、左右の鼻の穴の間にある「仕切り」のことです。両鼻の間には鼻腔(びくう)と呼ばれる空洞があり、そこで左右に分かれています。もともと、鼻中隔は左右どちらかに曲がっているものですが、曲がり方にもさまざまなタイプがあり、異常な曲がり方はいびきなどの症状が現れるのです。鼻中隔湾曲の曲がり方は、以下のようなタイプがあります。

  • S字型:鼻中隔が波のようにS字の曲線を描いている
  • C字型:鼻中隔がアルファベットのCのように曲がっている
  • くの字型:鼻中隔の1部分だけ折れ曲がったような形
  • 下方型:上部は垂直なのに、下部が突然曲がっている

上記のように、鼻中隔が異常に曲がると、鼻から空気を十分に取り入れることができずに「いびき」として音が出るというわけです。いびきのほかにも、鼻血・鼻づまりがひどくなり、慢性鼻腔炎の発症やアレルギー性鼻炎の悪化などにつながるおそれがあります。

1-3.いびきの注意点

ひどいいびきが続く場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気が隠れている可能性があります。名前のとおり、睡眠時に何回も呼吸が止まる病気です。以下が多く当てはまる方は、SASの疑いがあるため、病院で診察を受けることをおすすめします。

  • いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかき始める
  • 何度も目が覚める
  • 寝汗をかく
  • 呼吸が止まる、または乱れる
  • 息苦しさを感じることがある
  • 起きたときに口が渇いている
  • 熟睡感がない
  • スッキリと起きられない
  • 体が重いと感じる
  • 強い眠気がある
  • だるさ、倦怠感(けんたいかん)がある
  • 集中力が続かない

1-4.鼻中隔湾曲症を改善すればいびきが治る?

病院で検査を受け、いびきの原因が鼻中隔湾曲症であれば、改善できるでしょう。しかし、鼻中隔湾曲症以外にも、いびきの原因はさまざまです。たとえば、疲労・飲酒・風邪などが原因で起こる「単純性いびき」は、きちんとケアをすれば早急に解消できます。このように原因に応じた対応と治療が大切なので、まずはいびきの原因が何なのか、病院で診てもらうことが大切でしょう。

1-5.注意点

鼻中隔湾曲症によるいびきは、「睡眠時無呼吸を伴ういびき」になる可能性が高めです。他人から指摘されるほどの騒音が特徴で、そのまま放置すると睡眠時無呼吸が悪化し呼吸困難に陥るおそれがあります。また、眠りが浅くなってしまうため、不眠症・不整脈・動脈硬化など命にかかわる大病のリスクも高まるのです。家族などからいびきを指摘された場合は、念のため受診したほうがよいでしょう。

2.鼻中隔湾曲症の治療方法は?

それでは、鼻中隔湾曲症の診断方法と主な治療法を解説します。

2-1.診断・検査方法

主な診断方法は、視診・内視鏡検査・CT(コンピューター断層撮影)検査・鼻腔通気度検査・そのほかの検査結果で判別することになります。それぞれの検査の特徴を以下にまとめてみました。

  • 視診:鼻中隔を鼻鏡(びきょう)という器具を使い、鼻孔を広げて観察する。どの程度湾曲しているのか判断が可能
  • 内視鏡検査:細い内視鏡を鼻中隔に挿入し、粘膜の状態と鼻腔を観察する
  • CT検査:エックス線で鼻を断層撮影し、鼻中隔の曲がり具合と副鼻腔炎の合併などを判断する
  • 鼻腔通気度検査:測定機械を鼻に充て、鼻呼吸で空気の通り具合を検査する。数値で結果を表示
  • そのほかの検査:アレルギーの有無を調べる検査など

2-2.どんな治療法があるか?

鼻中隔湾曲症の主な治療法は、鼻づまり・いびき・鼻血・アレルギー性鼻炎の症状など、それぞれに合わせた薬を使用した保存療法です。症状に合わせて、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬・ステロイド点鼻薬などを使用してやわらげていきます。また、耳鼻咽喉科では、ネブライザー療法を採用することもあります。ネブライザー療法とは、薬を霧状にして直接鼻の中に吸引する方法です。
保存療法で改善できない場合は、「鼻中隔矯正術」という手術を用いることもあります。手術の詳細に関しては、後ほど【3.鼻中隔湾曲症の手術を解説!】で説明するのでぜひチェックしてください。

2-3.使用する薬は?

前述したとおり、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬・ステロイド点鼻薬を中心に、抗炎症薬・抗生物質・アレルギー性鼻炎などを使用します。中でも、点鼻薬は鼻腔粘膜の血管収縮効果があるため、鼻づまり解消に効果的です。しかし、常用していると血管が開き粘膜が厚くなる「慢性肥厚性鼻炎(まんせいひこうせいびえん)」を起こしやすく、症状が悪化するおそれがあります。薬を服用する際は、きちんと医師と相談してから正しい方法で服用しましょう。

2-4.手術は19歳以上から

子どもが鼻中隔湾曲症を患った場合も、上記と同じく、症状に応じた治療が必要になります。ただし、「鼻中隔矯正術」は、19歳以上の成人でなければ受けることができません。なぜなら、顔の骨格が完成する前に手術を受けると、成長に悪影響をおよぼす可能性があるからです。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績