夜に咳がひどくなるのはなぜ? 寝る前に咳が止まらないときの対処方法

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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昼間は何ともないのに、夜寝る前になると咳が止まらなくなる・・・こういった症状でお悩みではありませんか? 一体なぜ、夜になると咳が出るのでしょうか? 

そこで今回は、夜になると咳が出る原因とその対処法をご紹介します。夜になると咳が止まらない、夜に咳が出て寝不足気味という方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

  1. 咳が出るメカニズム
  2. 夜になると咳が出る原因は?
  3. 夜になると咳が出る場合の対処法は?
  4. 病院へ行った方がよいのはどんなとき?
  5. 夜に出る咳に関するよくある質問
  6. おわりに

1.咳が出るメカニズム

咳は、のどや気管・気管支の粘膜が刺激を受けることによる防御反射です。異物が気管支に入った場合もそれをはきだそうとして咳が出ます。また、風邪をひいたときに咳が出るのも、ウィルスや細菌といった異物が粘膜に付着しているからです。胃や横隔膜などが刺激を受けた場合に咳が出ることもあります。

呼吸器の異常なども咳が出る原因です。極度に緊張していて気道が狭くなったときも咳が出やすくなるでしょう。

咳には痰(たん)をともなわない乾性のものと、咳と一緒に痰(たん)が出てくる湿性のものがありますが、どちらの場合も長く続く咳は苦しいので、長く咳が止まらない場合はほかの症状がなくても病院を受診しましょう。

1-1.咳に関連する病気について

咳が症状として出る病気はたくさんありますが、夜中になると咳が激しくなる病気としては、アレルギー・後鼻漏・ぜん息などがあります。後鼻漏とは、喉の奥へ鼻水が落ちこむ症状で、副鼻腔炎を発症していると起こりやすいものです。また、ぜん息はひどい発作が起こると命にかかわることもあります。たかが咳と軽く見てはいけません。夜中の咳が一週間以上続き、改善の様子が見られない場合は、一度病院に行きましょう。

咳が出るのは防御反射ということなんですね。
咳が出る病気は沢山ありますが、命にかかわるものもあるので、改善しない場合は病院に行きましょう。

2.夜になると咳が出る原因は?

では、夜になると咳が出る原因にはどのようなものがあるでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。

2-1.副交感神経が活発になるため

睡眠中は自律神経のうち、副交感神経が活発になります。副交感神経とは筋肉の緊張をゆるめて、体をリラックスモードにする効果があるのです。副交感神経が活発にならなければ、横になっても目がさえてなかなか寝つけないでしょう。

しかしその一方で、筋肉がゆるむことで気道が狭くなってしまいます。こうなると、空気が通る程度の刺激でも気道の粘膜が敏感に反応して咳が出やすくなるのです。

2-2.鼻水などが気道に流れこむため

風邪をひくと、咳とともにポピュラーな症状が鼻水です。また、痰がからんで喉が詰まったようになる人もいるでしょう。寝る際にあおむけになって寝ていると、このような痰や鼻水が気道に流れこむことも珍しくありません。これらが気道を刺激して、鼻水が出やすくなるのです。

2-3.咳喘息を発症している

ひどい咳が出る風邪が治った直後や、喘息(ぜんそく)になった経験がある人が発症しやすいのが「咳喘息」という病気です。これは喘息と同様に気道が敏感になっていて、ちょっとした刺激にも反応する状態になっているもの。この状態で副交感神経が活発になり気道が狭まれば、余計に咳が出やすくなるでしょう。

風邪は治ったはずなのに、夜になると咳がぶり返すという場合は咳喘息を発症しているかもしれません。

2-4.アレルギー反応

布団についている羽毛やほこり、ダニなどでアレルギー反応が出ても咳が止まらなくなります。この場合は、布団を換えたりダニやほこりを取りのぞいたりしないと咳はおさまりません。

また、意外に忘れられがちなのがそば殻を使ったまくらです。日本では、昔からそば殻がまくらの中身として利用されてきました。通気性がよいので、夏に愛用している方も多いでしょう。しかし、そばアレルギーの場合はそば殻でも反応が出ます。食べ物には気を使っていても、そば殻を利用したまくらまで気が回っていなかったという方もいるでしょう。何の異常もないのに夜布団に入ったときだけ異様に咳が出るという場合は、アレルギーの疑いがあります。

夜になると咳が出る原因は色々あるんですね。
代表的な例ではありますが、原因がわかれば対処もしやすいでしょう。

3.夜になると咳が出る場合の対処法は?

では、夜になると咳が出る場合の対処法にはどのようなものがあるのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。

3-1.アレルゲンを取りのぞく

布団についているアレルゲンが原因で咳が止まらない場合は、アレルゲンを取りのぞくしかありません。まずは、病院に行ってアレルギー検査をしてもらいましょう。アレルギーの検査は内科や耳鼻咽喉科・皮膚科などでも行っています。

アレルギー科など専門の科もあるので、咳が出る場合はまず耳鼻咽喉科を受診し、必要があればアレルギー科を再受診してください。その結果、アレルギー物質が判明した場合は原因物質を取り除いていきましょう。今は、布団用の高性能掃除機なども販売されています。

3-2.マスクをして寝る

マスクをしていると、口や鼻から入ってくる外界の刺激物をある程度防げます。また、マスクは吐いた息を繊維が受け止めるので、口と鼻の周辺を加湿する効果もあるのです。乾燥は咳を誘発します。ですから、マスクをして眠ると咳が出にくくなるでしょう。「マスクをしたままでは、息苦しくて眠れない」という場合は、加湿器や空気清浄機を利用してください。

3-3.喫煙や飲酒をやめる

喫煙や飲酒は、夜に咳が出やすくなります。「喫煙はともかく、飲酒は何でダメなの?」と思う方もいるかもしれません。飲酒すると筋肉が弛緩(しかん)しやすくなり、余計に気道が狭まります。酔っぱらって眠るといびきをかきやすいのは、気道が狭まっているからなのです。夜になると咳が出るという場合は飲酒を控えたほうがよいでしょう。

3-4.横向きで寝る

横向きで寝ると気道がふさがりにくく、鼻水や痰(たん)が気道の奥へ落ちこむことも少なくなります。あおむけに寝ている人は試しに横向きで寝てみましょう。これだけでもだいぶ違います。

マスクをしたり横向きで寝るのも効果があるんですね。
喫煙や飲酒などの習慣を改善するのもよいでしょう。自分にあった対処法を実践してください。

4.病院へ行った方がよいのはどんなとき?

夜に咳が出てなかなか止まらないという症状が一週間以上続いた場合は、「咳喘息(ぜんぞく)」の可能性があります。また、夜にも咳が出るが日中もがんこな咳が2週間以上続く場合は、結核やマイコプラズマの可能性もあるのです。「たかが咳」と思わずに、耳鼻咽喉科を受診してください。

ストレスがたまっても咳が止まらなくなります。心因性の咳は不安の表れとも言われており、しつこい場合は薬などで不安を和らげる必要があるでしょう。呼吸器官に異常がないのに咳が止まらないという場合は、心療内科やメンタルクリニックを受診してください。

一週間以上続いた場合は病院へ行ったほうがいいんですね。
ストレスが原因となっていることもあります。呼吸器官に異常がない場合は心療内科やメンタルクリニックを受診しましょう。

5.夜に出る咳に関するよくある質問

ここでは、夜寝る前に咳が止まらないとお悩みの方から寄せられることの多い質問を回答と共に紹介します。ぜひ、参考にしてください。

Q.夜中に咳がよく出る場合、病院へ行く目安はありますか?
A.1週間たっても症状の改善が見られない場合を一つの目安としましょう。子どもや高齢者の場合は、もう少し早く受診してください。

Q.アレルギーなどは自然治癒することがありますか?
A.アレルギーが自然治癒することはほとんどありません。

Q.特定の場所に行くと夜中に咳が止まらなくなります。
A .アレルゲンがその場所にある可能性があるので、その場所に近寄らないことが大切です。寝具や装飾品など変更できるものであればよいのですが、壁紙の接着剤などがアレルゲンになっている可能性もあります。

Q.咳が出る場合は何科を受診すればいいですか?
A.呼吸器科・循環器科・耳鼻咽喉科などで咳が出る病気の治療を行っています。かかりつけ医にどれかの科がある場合は、まずかかりつけ医を受診しましょう。

Q.漢方薬で咳は鎮められますか?
A.はい。治療に取り入れている病院もあるので、利用したい場合は医師に相談してください。

Q.子どもの咳が止まらない場合は、小児科を受診すればよいのでしょうか?
A.はい。まずは小児科を受診し、必要ならば他の科を紹介してもらってください。

これで心配だったことがわかったので少し安心しました。
咳が出続ける状態で生活するのは大変つらいでしょう。できるだけ早く病院に行くようにしてくださね。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は、夜になると咳が出る原因やその対処法についてご説明しました。
まとめると

  • 夜になると副交感神経が活発になって咳が出ることもある。
  • 気管に鼻水や痰(たん)が落ちこんでも咳が出る場合がある。
  • 布団にアレルゲンが出ると咳が出る場合がある。
  • 1週間以上夜に咳が出続ける場合は、病院を受診しよう。

ということです。咳は病気でなくても、ちょっとしたはずみに出てなかなか止まらないこともあります。ですから、夜に咳が出続けても「咳くらいで」と思って病院に行かない人もいるかもしれません。しかし、肺炎や結核、喘息(ぜんんそく)になっていた場合は適切な治療をしないと治らないのです。さらに、結核の場合は伝染病ですから知らない間に菌をまき散らしているかもしれません。咳がなかなか止まらない場合は、できるだけ早く病院に行ってください。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績