夜に咳が出るのはなぜ? 関連する病気や治療法・セルフケアなど紹介

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

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夜に咳が止まらなくなると、なかなか眠りに落ちることができませんよね。長引く咳は気道の炎症を起こし、喘息や呼吸困難など思い病気や症状に発展する恐れがあります。まずは、なぜ夜に咳がひどくなるのか、一向に止まらなくなるのか原因を知ることが大切です。原因が分かれば、専門医の指導のもと、適切な治療を受けることができるでしょう。

本記事では、夜に咳が出る原因や治療法などについて解説します。

  1. 夜に咳が出る原因と関連する病気は?
  2. 夜の咳を止めるためのセルフケアと応急処置
  3. 夜の咳が止まらないときは病院へ
  4. 夜の咳に関してよくある質問

この記事を読むことで、夜に咳が出る本当の原因と改善するためのポイントが分かります。悩んでいる方はぜひチェックしてください。


1.夜に咳が出る原因と関連する病気は?

まずは、夜に咳が出る原因と関連する病気をチェックしておきましょう。原因が分かれば、咳を止めるための方法も分かります。

1-1.夜に咳が出るのは体を守っている証拠

私たちの体は、体内に異物が入り込むと外に出そうとする防衛機能が備わっています。夜に咳が出るのは、体をウイルスや菌・ホコリ・毒物・大きな異物など有害物質から守ろうとしている証拠です。特に、夜は、気管支や気道が過敏になりやすい「気道過敏性」を起こしやすい時間帯となります。ハッキリとした原因は分かっていませんが、アレルギーによる咳も夜に起こりやすい傾向があるのです。アレルギーだけでなく、喘息・鼻水・鼻づまり・鼻炎も夜に悪化することが多いのではないでしょうか。また、副交感神経が活発になることで気管支が収縮しやすくなり、気道が狭まって咳が出やすくなるという理由もあります。

1-2.アレルギー症状はアレルゲンが原因

夜に咳が出るのは、アレルギー症状も関係しています。アレルギー症状の原因となっているのは、ダニやホコリなどのアレルゲン物質です。アレルゲン物質は、布団・ベッドのシーツ・掛け布団など寝具類に付着しやすい傾向があります。横になるときは寝具類に包まれるため、アレルゲン物質を吸い込んでしまうのです。

1-3.後鼻漏(こうびろう)が原因になるケースも

あお向けに寝ると咳や痰(たん)が出る場合、後鼻漏が原因になっている可能性があります。通常、鼻水は鼻の穴から出てくるものですが、後方の鼻咽腔(びいんくう)と呼ばれるところに流れ込むことがあるのです。この鼻咽腔に流れ出た鼻水のことを後鼻漏と言います。鼻汁があお向けに寝ると、後鼻漏に膿が流れ込んできてはそれが刺激となり、咳や痰を引き起こすのです。後鼻漏が原因の場合は、鼻や副鼻腔が関係しているので耳鼻咽喉科で治療を受け根本的な原因を解決しなければなりません。

1-4.気管支炎や喘息などの呼吸器系疾患

中には、気管支炎や喘息などの呼吸器系疾患が原因で、夜間に咳が止まらなくなっているケースがあります。音のない乾いた咳が出ている場合は、咳喘息という病気が考えられるでしょう。咳喘息は息苦しさやヒューヒュー・ゼーゼーといった症状がない点が特徴です。逆に、ゼーゼー・ヒューヒューといった音がする咳の場合は、気管支に炎症が起きている可能性があります。そのまま放置すると喘息になり、呼吸困難を引き起こすきっかけになるので注意が必要です。

1-5.心不全などの循環器系疾患

横になってしばらく経過してから咳や息苦しさが出る場合は、心不全などの循環器系に問題がある可能性があります。横になると肺を通っている血管に血液が滞るからです。その血液が刺激となり、咳を引き起こします。循環器系疾患が関係しているとき、上半身を起こすと咳が軽くなったり、息がしやすくなったりするでしょう。また、心不全の場合はむくみや体重の増加なども症状の1つです。

2.夜の咳を止めるためのセルフケアと応急処置

それでは、どうすれば夜の咳を止めることができるのでしょうか。ここでは、セルフケアと応急処置について解説します。

2-1.加湿器などを使って乾燥を防ぐ

室内の空気が乾燥している場合は、加湿器などを使って湿度を保ちましょう。気道の粘膜は外部からの異物を防ぐ作用を持っていますが、乾燥すると異物を防ぐことができなくなります。なるべく湿度を維持し、空気の乾燥を防ぐことが大切です。加湿器がない場合は、ぬれマスクをつけたり、清潔な蒸しタオルを鼻と口をおおうようにしたりするといいでしょう。就寝中にマスクをするのも、乾燥を防ぐ方法の1つです。

2-2.痰が絡む咳の場合は民間療法を試す

民間療法として、痰が絡む咳が出たときはレンコンとオオバコを活用しましょう。レンコンとオオバコには咳を和らげる効果が期待できます。使用する際は、レンコンの節部分も一緒にすりおろし、繊維部分を除いて汁を1回にスプーン1~2杯を飲み干してください。オオバコの場合は、2株を根ごと洗い陰干しをした後、コップ5杯程度の水で半量になるまで煮つめます。そして、その量を1日数回に分けて飲み干しましょう。また、寝る前にはちみつレモンで喉を温めるのも方法の1つです。

2-3.寝方や寝具類を変える

今まであお向けで寝ていた方は横を向いて寝るようにしたり、新しい寝具類に変えたりすることで、咳が和らぐことがあります。特に、長く使い続けている寝具類は古く、繊維や汚れがつきやすくなっているのでアレルギーによる症状が出やすくなるのです。ホコリがつきにくい寝具類にすることで、症状がだいぶ落ち着く可能性もあります。

2-4.寝室を清潔な状態にする

できるだけアレルゲン物質を少なくするために、寝室を清潔な状態にすることも大切なポイントです。寝室の環境が不衛生なほど、ホコリやカビ・ダニ・ノミが発生しやすく、寝具類を新しくしても意味がありません。定期的に掃除すること、換気し新しい空気を取り入れることが大切です。

2-5.規則正しい生活を心がける

アレルギー症状や副鼻腔炎などの鼻と耳の症状は、日ごろの生活が大きく関係しています。食生活の偏り・睡眠不足・運動不足によって体の免疫機能が低下し、異物を受け入れやすくなるのです。特に、副鼻腔は風邪などの炎症から悪化する可能性があります。生活リズムや習慣が乱れている方は、自分の生活を改めて改善するのも大切なセルフケアです。

3.夜の咳が止まらないときは病院へ

工夫を施しても夜の咳が止まらないときは病院を受診しましょう。ここでは、改めて病院へ行くべき症状とポイントを解説します。

3-1.咳が数週間続く場合は病院に行く

咳が出始めると1番に疑うのは風邪ですが、風邪の症状は鼻水→喉の痛み→発熱→咳という順番が基本です。いきなり咳が出たり、発熱もないのに止まらない状態だったり、風邪とは異なる症状がある場合は、風邪以外の原因が考えられるでしょう。特に、咳が数週間以上続くときは注意が必要です。風邪などウイルスに感染した後の咳は、8週間続くと言われています。その期間が過ぎても咳が出るのは、治療が必要な疾患にかかっている可能性が高いのです。
また、夜の咳はとても苦しく、体だけでなく精神面にも大きな負荷を与えることになります。睡眠不足になると集中力が低下し、免疫機能も正常に働かなくなるので早めに受診したほうがいいでしょう。

3-2.症状によって診療科が変わる

夜に咳が出る原因は、消化器系・循環器系・アレルギーや後鼻漏などさまざまです。それぞれ咳の特徴や症状が異なるため、まずはどのような症状が出ているのか確認してください。それから考えられる原因の診療科を受診しましょう。アレルギーや後鼻漏の疑いがある方は耳鼻咽喉科を受診してください。過去に、副鼻腔炎を患ったことがある方も、耳鼻咽喉科がいいでしょう。原因が分からない場合は、とりあえず内科を受診すれば問題ありません。検査を受けてから適切な診療科で治療を受けることができます。

3-3.耳鼻咽喉科での治療方法は膿の除去

後鼻漏やアレルギーが原因の場合、耳鼻咽喉科で治療を受けることになります。耳鼻咽喉科での主な治療法は、鼻咽腔に流れ込んだ鼻水や副鼻腔にたまった膿を取り除くことです。炎症が起きている場合は、炎症部分を切る取る手術などを行うケースもあります。従来は切開して手術を行う方法が主流でしたが、現在は技術が発達し、切開をしなくても内視鏡を使った手術が可能になりました。大阪市にある川村耳鼻咽喉科クリニックでは、日帰りでも手術可能な内視鏡下副鼻腔手術(ESS)を採用しています。そのほか、症状に合わせた手術を行っているのでぜひ1度ご相談ください。

3-4.病院選びのポイント

きちんと検査をしてくれるか、手術や治療の実績があるか、口コミや評判がいいかなど、さまざまなポイントをチェックする必要があります。特に、親身になって話を聞いてくれるか、医師の対応は要チェックです。きちんと話を聞いてくれるところは、より適切な治療法を提案してくれます。ひとりひとりと時間をかけて向き合っているからこそ、素早く改善への道を歩むことができるのです。

4.夜の咳に関してよくある質問

夜の咳に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.感染後咳嗽、百日咳とは?
A.風邪を引いた後、咳だけが治らない状態のことを感染後咳嗽と言います。炎症は治まりますが、気管が敏感になっているので咳が止まらなくなる状態です。感染後咳嗽のほとんどは、約8週間で自然と咳が治るでしょう。そして、百日咳は百日咳菌に感染することで発症する感染症です。感染から2~3週間後に強い咳こみを生じるのが特徴で、息を吸うときはヒューヒューという呼吸音がします。強い咳こみは2~3週間で治まりますが、咳は感染してから12週間続くでしょう。

Q.アレルギー性咳嗽を放置するとどうなるの?
A.定期的に咳を伴う時期がやってきては悩まされることになります。アレルギー性咳嗽は、ある季節になると咳が止まらなくなる・喉のあたりがくすぐったい感じがするという点が特徴です。中には、結核・心不全が原因で咳が出るケースもあるので注意しなければなりません。発熱と咳が続くときは結核の可能性が高く、早めに治療しなければ命を失うリスクが高まります。

Q.後鼻漏は自然治癒できないの?
A.後鼻漏は、鼻咽腔と呼ばれる部分に流れ込んだ鼻水のことです。副鼻腔炎をきっかけに生じることが多いため、根本的な原因となる副鼻腔炎を改善しなければ治りません。また、副鼻腔炎にも急性と慢性の2種類があります。急性の場合は自然に治ることもありますが、慢性になると自然治癒は困難でしょう。耳鼻咽喉科できちんと正しい治療を受けることが大切です。市販薬で対処しようとする方がいますが、自分の症状に合っているか素人では判断できないのでおすすめしません。逆効果になる恐れもあります。

Q.日常生活における注意点は?
A.アレルギーを起こさない環境をつくるのはもちろん、ストレスをため込まないことも大切です。ストレスは気道を敏感にさせる原因となるため、できるだけリラックスできる環境に身を置きましょう。また、飲酒や喫煙をできるだけ控えたり、風邪やインフルエンザに注意したりすることも咳を防ぐポイントとなります。どれも自分の意識次第でできることなので、ぜひ今からでも心がけてください。

Q.咳が出ると同時に胸焼けがする場合の対処法は?
A.胸焼けを伴う場合は、逆流性食道炎が考えられます。胃液が食道に逆流することが刺激となり、咳を引き起こす仕組みです。胃酸の分泌を抑制する薬を処方してもらうのが、1番早い対処法となります。薬で咳の症状がやわらげば、胃食道逆流症と診断されるでしょう。ただし、胃食道内視鏡で検査した結果、食道炎が見つかることもあります。正しい処置を行うために、専門施設できちんと検査してもらう必要があるのです。

まとめ

夜寝るときに咳が出るのは、副鼻腔の慢性炎症による膿などが喉に流れ込んでくることが原因というケースもあります。副鼻腔炎、アレルギー症状、循環器系の問題など原因は多種多様です。まずは、夜に咳が出る原因を検査で突き止める必要があります。原因が分かれば、適切な処置ができるのでスムーズに症状を和らげることができるでしょう。また、鼻づまりをやわらげたり、リラックス状態を心がけたり、自分でできるケアも行うことが大切です。専門的な治療とセルフケアで咳に悩まされる夜から抜け出しましょう。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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