点鼻薬の副作用で発症する薬剤性鼻炎。その症状と治療法とは?

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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鼻炎とは、鼻の粘膜が何らかの原因で炎症を起こす病気です。多量の鼻水やひどい鼻づまりで悩んでいる方も多いことでしょう。特に、鼻づまりは呼吸もしづらくなるため、市販の点鼻薬で鼻づまりを解消させているという方もいると思います。しかし、この点鼻薬の副作用で鼻炎が起こることもあるのです。これを、薬剤性鼻炎といいます。なぜ、鼻づまりを解消する作用のある点鼻薬で鼻づまりが起きるのでしょうか?

そこで、今回は薬剤性鼻炎が発症するメカニズムや治療法・予防方法をご紹介します。

  1. 薬剤性鼻炎とは?
  2. 市販の点鼻薬と上手に付き合う方法
  3. 薬剤性鼻炎の治療方法
  4. 薬剤性鼻炎に関するよくある質問

薬剤性鼻炎に関する知識があれば、点鼻薬を正しく使い薬剤性鼻炎の発症を防ぐことができるでしょう。鼻づまりの解消に点鼻薬を使っている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.薬剤性鼻炎とは?

はじめに、薬剤性鼻炎が起こる原因や症状をご紹介します。普通の鼻炎とどのような違いがあるのでしょうか?

1-1.一般的な鼻炎の原因

通常の鼻炎は鼻の粘膜が何らかの理由で炎症を起こし、発症します。粘膜が炎症を起こすと粘膜内にある毛細血管に血液が過剰に供給され、鼻汁(鼻水)の分泌が盛んになったり粘膜が腫れたりするのです。鼻づまりを解消するためには、血液の供給量を抑える必要があります。

1-2.薬剤性鼻炎の原因

鼻炎になると鼻づまりが起こります。重度の鼻づまりは大変つらいので、市販の点鼻薬を用いて解消させる方もいるでしょう。鼻づまり解消を目的とした点鼻薬には、血管収縮剤が入っています。そのため、点鼻薬を使うと鼻粘膜の血流が減少して鼻づまりが解消するのです。即効性があるため、すぐに鼻づまりを解消したいという場合にも重宝します。

しかし、点鼻薬を使いすぎると薬剤は徐々に効かなくなり、鼻の粘膜は血管の拡張反応によってぶ厚くなるのです。つまり、点鼻薬を使い続けることにより、逆に鼻の粘膜が厚くなって鼻づまりが悪化します。これが薬剤性鼻炎発症のメカニズムです。

薬剤性鼻炎になると効き目が弱くなったと感じたり、効果の持続時間が短くなってきます。

1-3.薬剤性鼻炎を引き起こす薬とは?

薬剤性鼻炎を引き起こす薬は、鼻づまりを解消する効果を謳っている市販品の点鼻薬です。ドラッグストアで販売されているため、誰でも購入することができます。

血管収縮剤の成分名は『ナファゾリン』『テトラヒドロゾリン』『オキシメタゾリン』など『~ゾリン』で終わる成分がほとんどです。

1-4.薬剤性鼻炎と通常の鼻炎の違いとは?

薬剤性鼻炎は、点鼻薬を使っている限り治ることはありません。また、薬剤性鼻炎は鼻の粘膜が腫れあがっていますので、いくら鼻をかんでも鼻づまりは解消せず、息苦しい状態が続きます。

1-5.鼻づまり以外に現れやすい症状

薬剤性鼻炎になると、前述したように鼻がつまって鼻呼吸ができなくなります。すると、集中力の低下や頭痛・顔面痛などの症状が出ることもあるのです。また、鼻呼吸ができないと必然的に口呼吸になり、口臭や口の中が乾くドライマウスが起こる可能性もあります。

2.市販の点鼻薬と上手に付き合う方法

では、市販の点鼻薬はどのように使用すれば副作用なく使えるのでしょうか? この項では、その方法をご紹介します。

2-1.点鼻薬の用法と用量を守る

市販薬は、説明書きに用法と用量が記載されています。使用前に説明書きをよく読み、必ず守りましょう。点鼻薬は鼻づまりがすぐに解消できるため、つい使いたくなりますが、1日2回以上使用しないように気をつけてください。

2-2.二週間たっても鼻づまりが解消しない場合は、耳鼻咽喉科を受診する

鼻づまりの原因は様々ですが、単なる風邪ならば2週間以内に症状が治まります。それ以上鼻づまりが続くようならば、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を発症している可能性があるのです。

風邪以外の鼻づまりは、自然治癒することはあまりありません。点鼻薬で鼻づまりを一時的に解消し続けるだけでなく、根本的な治療が必要です。また、1日2回以内でも点鼻薬を1か月以上連続して使うのはおすすめできません。耳鼻咽喉科を受診し、治療を受けましょう。

3.薬剤性鼻炎の治療方法

この項では、薬剤性鼻炎の治療方法をご紹介します。どのような治療が行われるのでしょうか?

3-1.病院を受診する目安

  • 1日3~4回点鼻薬を使用し続けていたところ、効きが悪くなってきた
  • 使い始めた頃より効果の持続時間が短くなってきた
  • 市販の点鼻薬を使用し続けていたら、鼻づまりがひどくなってきた気がする

このような症状の方は、薬剤性鼻炎の可能性があります。至急耳鼻咽喉科を利用しましょう。

3-2.薬剤性鼻炎の治療方法

薬剤性鼻炎だと診断された場合、まずは点鼻薬の使用を止めます。この際、一時的に鼻炎が悪化しますが、1~2週間すればだんだんと症状が治まってくるでしょう。同時に点鼻ステロイドを使用して粘膜の抗炎症反応を抑え、粘膜の腫れを改善します。ただし、点鼻ステロイドに即効性はありません。1~3日してから効果が現れてきます。市販の点鼻薬に慣れている方にとっては一時的につらいかもしれませんが、それを乗り越えるまでの辛抱です。

市販の点鼻薬を急にやめると鼻づまりが改善されない場合は、当初は点鼻ステロイドや抗ヒスタミン剤、抗ロイコトルエン剤などの内服薬と併用してもかまいません。徐々に市販の点鼻薬の使用頻度を減らしましょう。

3-3.鼻粘膜の手術について

鼻粘膜の腫れがひどく、投薬治療では効果がない場合は手術をすすめられることがあります。ここでは、鼻粘膜の手術についてご紹介しましょう。

3-3-1.鼻粘膜の手術とは

鼻粘膜の手術とは、鼻の粘膜を焼いて粘膜を縮めることで鼻粘膜の腫れを取って鼻づまりを改善する手術です。正式名称を「鼻粘膜焼灼術」といいます。レーザー手術などと称されることもありますが、これは、炭酸ガスレーザーを用いて鼻粘膜を焼灼する手術です。炭酸ガスレーザーの他には、ラジオ波を使った鼻粘膜焼灼術もあります。

3-3-2.手術のメリット

鼻粘膜を焼灼すると鼻づまりを解消できます。薬剤性点鼻薬の他、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎由来の鼻粘膜の腫れにも効果的です。

3-3-3.手術にかかる時間と費用

鼻粘膜の焼灼手術は、日帰りで行います。日常生活にほとんど支障はありません。手術の日程は、医師とよく相談してください。手術自体は10分~20分以内に局所麻酔を使って行われます。

手術には健康保険が適用されますので、自己負担は1万円以下が相場です。

3-3-4.手術を受ける耳鼻咽喉科の選び方

鼻粘膜の焼灼手術は、行っている病院と行っていない病院があります。鼻づまりがひどい場合は、ホームページなどで焼灼手術を行っている病院を調べ、受診するとよいでしょう。また、手術の経験が多い病院ほど色々な症例にも対応してくれます。手術件数が多い病院がおすすめです。

4.薬剤性鼻炎に関するよくある質問

Q.市販の点鼻薬を使用していると必ず薬剤性点鼻薬になってしまうのでしょうか?
A.そんなことはありませんが、長期間使用し続けるほど発症のリスクは上がっていきます。

Q.鼻づまりがひどくなるととてもつらいのですが、治療を乗り越えられるでしょうか?
A.薬剤性点鼻薬の治療は、点鼻薬の使用をやめなければはじまりません。つらい期間もありますが、医師と相談しながら治療を進めてください。

Q.日帰り手術の場合、日常生活に支障はありませんか?
A.ほぼありませんが、飲酒したり湯船につかったりすることは控えてください。その他、禁止事項がある場合は必ず医師が説明してくれます。

Q.薬剤性鼻炎は性別や年齢に関わらず発症するのでしょうか?
A.はい、発症します。ですから、点鼻薬の乱用は絶対にやめましょう。

Q.花粉症などのアレルギー性鼻炎は、ある日突然発症することがありますか?
A.花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎の発症は、突発的です。また、誰もが発症する可能性があります。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は点鼻薬の副作用で起こる薬剤性鼻炎についていろいろとご紹介しました。鼻づまりはとてもつらいので、市販薬に頼りたくなる方も多いと思います。しかし、点鼻薬では鼻づまりを一時的に解消することしかできません。鼻づまりを根本的に解消するためには、早めに耳鼻咽喉科を受診し、治療を受けましょう。