蓄膿症ってなに? 知っておくべき副鼻腔炎の基礎知識!

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春が終わりを告げ、そろそろ夏へと切り替わり始めている今日このごろ。このような季節の変わり目には鼻風邪、蓄膿症(ちくのうしょう)といった副鼻腔炎(ふくびくうえん)に悩まされる方が多くなるといわれています。鼻水や鼻づまり、嫌な臭い……などなど、さまざまな症状に悩まされてつらい思いをしていることでしょう。できれば、今すぐにでも、つらい状況から脱したいですよね?

そんな方のために、今回は副鼻腔炎(ふくびくうえん)の原因や治療法など、基礎的な知識についてご紹介します。

  1. 副鼻腔炎(ふくびくうえん)について
  2. 副鼻腔炎(ふくびくうえん)の種類
  3. 副鼻腔炎(ふくびくうえん)の長引く原因とは?
  4. 副鼻腔炎(ふくびくうえん)の症状とは?
  5. 副鼻腔炎(ふくびくうえん)の検査・診断
  6. 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)の治療
  7. 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)の手術について
  8. 副鼻腔炎(ふくびくうえん)の予防法

1.副鼻腔炎(ふくびくうえん)について

1-1.どんな人がなりやすい?

1つ目に挙げられるのは遺伝です。両親が副鼻腔炎(ふくびくうえん)になった経験がある場合、子供にもかかりやすくなる因子が遺伝され、結果として副鼻腔炎(ふくびくうえん)になりやすいと考えられています。

2つ目は鼻の骨が曲がっていることです。鼻の軟骨が曲がることを『鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)』と呼びます。この状態に陥っている方は片方だけ鼻の構造が狭くなることにより、鼻汁がたまりやすくなり、結果として副鼻腔炎(ふくびくうえん)になりやすくなるのです。

3つ目に挙げられる傾向としては、鼻をかみすぎることでしょう。鼻の中をすっきりさせたいから、と癖ですぐに鼻をかむ人もいると思います。しかし、日常的に何度も何度も繰り返していると、副鼻腔(びくう)の通り道が炎症を起こし、狭くなってしまうことがあるのです。すると、とおりが悪くなって鼻水がたまり、副鼻腔炎(ふくびくうえん)を起こしてしまいます。

4つ目は、虫歯です。口と鼻がつながっていることはご存じだと思います。そのため、場合によっては口内の虫歯菌が鼻の方へといってしまい、その菌が元で副鼻腔炎(ふくびくうえん)を起こしてしまうことがあるのです。

5つ目は、アレルギー性の鼻炎にかかっている方。もちろん、花粉症なども含まれます。アレルギー性の鼻炎にかかっていると、異物を吐き出そうと体が過剰反応を起こし、鼻水が出やすくなってしまうのです。鼻水が多く出るようになるということは、それだけ副鼻腔炎(ふくびくうえん)のリスクを高めてしまいます。

1-2.起こりやすい時期とは?

季節の変わり目になりやすいとされています。というのも、季節の変わり目は体の免疫能力が下がり、風邪にかかりやすいからです。風邪にかかると鼻水や鼻づまりが起きますよね。さらに、喉や鼻などが炎症を起こしやすくなるので、鼻水がせき止められやすくなるはずです。結果として、副鼻腔炎(ふくびくうえん)になりやすいでしょう。

つまり、気をつけなければいけないのは夏風邪のはやる『5月~8月』と、インフルエンザや風邪のはやる『10月~2月』です。特に、秋や冬などの空気が乾燥した時期はとてもリスクが高まるので、マスクなどでしっかりと対処するようにしましょう!

2.副鼻腔炎(ふくびくうえん)の種類

2-1.急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)・鼻風邪

細菌やウィルスが感染することが原因で、副鼻腔(びくう)に発生する炎症のことです。頭痛や顔面痛などの症状を引き起こします。しかし、1~2週間程度で治るので過度の心配は必要ありません。ちなみに、一般的には鼻風邪と呼ばれ、蓄膿症(ちくのうしょう)とは区別されます。

2-2.慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)・蓄膿症(ちくのうしょう)

時々、症状が治らずに長引いたり、治ったと思ってもすぐに繰り返したりすることがあります。この状態が3か月以上続いている状態が慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)です。一般的には、蓄膿症(ちくのうしょう)と呼ばれます。

慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)になると、副鼻腔(びくう)の炎症によって鼻水などの分泌液の量が増えたり、粘度が高くなったりするでしょう。そのため、鼻水や鼻づまりが発生します。また、頭痛、嫌な臭いなどの症状が出ることも多いでしょう。

3.副鼻腔炎(ふくびくうえん)の長引く原因とは?

3-1.長引く原因

長引く大きな理由としては、アレルゲンが挙げられます。アレルゲンとは、アレルギーの原因物質のこと。季節性アレルギー性鼻炎であれば花粉、通年性アレルギー性鼻炎であればハウスダストや排ガスなどが代表的ですね。

アレルゲンが常に周りにあると、頻繁にアレルギー反応が起こって鼻水や鼻づまりが発生します。これによって副鼻腔炎(ふくびくうえん)の回復が遅れ、長引くのです。

3-2.子供の場合

子供の場合は、免疫能力の低さとアレルギーが大きな原因です。

子供のうちは、頻繁に風邪やインフルエンザなどにかかりますよね。そのため、急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)が何度も発生し、それが繰り返されることで慢性化すると考えられるでしょう。

さらに、子供はアレルギーにも弱いので、風邪とアレルギーのダブルパンチで慢性化するということも珍しくありません。

4.副鼻腔炎(ふくびくうえん)の症状とは?

4-1.一般的な症状

副鼻腔炎(ふくびくうえん)にかかった方のほとんどが経験するのは、鼻水鼻づまりです。特に、鼻水が常に出てくるという方は副鼻腔炎(ふくびくうえん)の可能性が高いでしょう。また、鼻づまりや鼻水による副次的な症状として、匂いが分からなくなるということもあります。

ほかに多い症状としては、鼻や口から発生する嫌な臭いです。鼻の中に膿(うみ)がたまることによって、その臭いを感じることがあります。これは自覚できる方とできない方がいるので、できれば他人に確認してもらうとよいでしょう。

また、咳(せき)も有名な症状の1つです。鼻水が喉の方へと流れ落ちる現象を『後鼻漏(こうびろう)』といいます。これは普通の人でも発生する症状です。普通はそのまま胃の方へと流れ落ちていきます。しかし、蓄膿症(ちくのうしょう)になると鼻水の粘りけが強くなるため、喉に絡んで咳(せき)を誘発してしまうのです。

4-2.風邪との違い

副鼻腔炎(ふくびくうえん)は風邪が原因となって発生することが多い上、副鼻腔炎(ふくびくうえん)自体の症状も咳(せき)や鼻水などと風邪に似かよっています。そのため、慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)は「風邪が長引いているのだろう」と勘違いされがちです。風邪薬などを飲んで回復しようとする方も珍しくありません。しかし、実際には風邪をひいていない(完治している)のですから、風邪薬を飲むのは体によくはないですよね。ですから、しっかりと区別する必要があります。

区別法としては、やはり鼻水の状態が分かりやすいでしょう。鼻水が粘りけのある黄緑色をしているようなら、副鼻腔炎(ふくびくうえん)の可能性が高くなります。また、嫌な臭いも特徴的なので、自覚した場合や、他人から指摘された場合は可能性が高まるでしょう。

また、発熱の有無でも診断が可能です。基本的に慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)の場合は発熱しないので、鼻水や鼻づまりの症状があるにもかかわらず平熱であれば、判断が可能となります。

ただし、急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)の場合、普通の風邪を併発していることが多いので、絶対的なチェック法とはいえませんのであしからず。

4-3.併発しやすい病気

慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)は鼻水や鼻づまりなど、鼻炎と大差のない症状のため、放置されやすい病気です。しかし、意外と油断できません。なぜかというと、鼻は脳など重要器官に近い場所のため、まれに重大な合併症を起こすことがあるからです。

併発するものには、以下のような病気があります。

  • 中耳炎
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎

特に、脳腫瘍や髄膜炎が発生すると、意識障害や麻痺(まひ)などの症状が発生します。最悪の場合は命にかかわりますし、治療ができても後遺症の残るリスクもあるでしょう。

ただの鼻風邪や蓄膿症(ちくのうしょう)だと甘く見ず、しっかりと対処をするようにしてくださいね。

5.副鼻腔炎(ふくびくうえん)の検査・診断

5-1.検査・診断方法

副鼻腔炎(ふくびくうえん)の検査で最もポピュラーなのは内視鏡検査です。細い管を使って鼻の中を検査します。内視鏡というと、大腸や胃などの検査を思い浮かべ、痛みや苦しみがあるように思われる方も多いでしょう。しかし、鼻の内視鏡検査の場合は痛みや苦しみはありません。しかも、準備なども少ないのですぐに行うことができる方法です。

また、MRIを使って検査することもあります。MRIとは、円筒形の機械で、使用には予約が必要となる場合がほとんどでしょう。そのため、最初の診察から結果が出るまで時間がかかるのがネックです。そのかわり、鼻の内部を透視することができるので、内視鏡では分かりづらい箇所までしっかりと検査できるのがメリットとなります。

レントゲンを使った検査方法も少なくありません。副鼻腔炎(ふくびくうえん)にかかっている方にレントゲンを撮ると、目の近くに白い靄(もや)がかかって見えます。レントゲンは病院が混雑していなければ予約無しにできることもあるので、素早い診断結果が期待できるでしょう。

5-2.自己診断チェック

すでに軽く触れてきましたが、ここで副鼻腔炎(ふくびくうえん)の自己診断をしてみましょう。以下のチェック表に引っかかればアナタも副鼻腔炎(ふくびくうえん)にかかっているかもしれませんよ。

  • ドロッとした黄緑色の鼻水が出る
  • 喉にドロッとした鼻水が流れ落ちてくる
  • 頻繁に痰(たん)が絡み、咳(せき)が出る
  • 鼻をかんでも奥に鼻水が残っているような気がする
  • 季節に関係なく鼻が詰まっている
  • 鼻や口から嫌な臭いがする
  • 鼻声になって声がうまく出せない
  • 食べ物の匂いや味が分からない
  • 目の周りや頰、歯が理由もなく痛い
  • ボーッとして集中できない

6.慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)の治療

6-1.とりあえずの対処法 

病院にいきたくても時期などが合わず、自分で応急処置したいときもありますよね。そのようなときには、鼻うがいが効果的でしょう。

鼻うがいというのは、水を鼻に入れて口から出すことで、鼻の中を洗浄することです。これだけ聞くと非常につらそうに思えますが、ちゃんとした方法でやればまったく痛くはないので試してみましょう。

鼻うがいの方法は主に2つ。専用の洗浄液を使った方法と、生理食塩水を使う方法が挙げられます。専用の洗浄液はドラッグストアに売っているので確認してみてください。

しかし、ときにはドラッグストアも近くにないこともあるでしょう。そのようなときには生理食塩水で代用することもできます。生理食塩水というのは、平たくいえば『適切な濃度に薄められた塩水』のこと。作り方は以下のとおりです。

  1. 小鍋などで500cc~1000ccの水を沸騰させる(煮沸消毒で水を殺菌する)
  2. 人肌程度まで冷ます。
  3. 計量カップ2.5杯(500cc)に対して計量スプーンの小さじ1杯(5g)の比率で混ぜる。

これだけです。後は、鼻うがいを実行しましょう。やり方は以下のとおりです。

  1. 頭を大きく後ろに傾け、片方の鼻を押さえる。
  2. 押さえていない方の鼻の穴に、ゆっくりと生理食塩水(専用洗浄液)をながしこむ。この際、ツバを飲み込もうとするとむせたりして危険なので、必ずツバは飲み込まないように注意しましょう。
  3. 喉の方へと生理食塩水が流れ込むので、必ず飲み込まずに口から吐き出しましょう。
  4. 最後に軽く鼻をかみます。ただし、強くかみすぎると粘膜が炎症を起こすので注意してください。

6-2.治療方法

慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)の治療方法には大きく分けて『保存療法』と『手術療法』があります。

保存療法においては抗生物質や漢方薬を使った『マクロライド療法』と呼ばれる薬物療法が一般的です。また、鼻や口から霧状にした薬を吸い込む『ネブライザー療法』というのもあります。ほかには、吸引器などを使って副鼻腔(びくう)をキレイにする、『副鼻腔(びくう)清掃・洗浄』という方法もポピュラーです。

手術療法においては、顔や歯にメスを入れて副鼻腔(びくう)を開き、炎症した粘膜や膿(うみ)の除去をする『外科手術』。そして、鼻の中に内視鏡を入れてカメラの映像を元に炎症した粘膜を取り除き、膿(うみ)が外に出やすくする『内視鏡手術』が一般的です。

6-3.子供の場合

子供の場合、薬物療法にしても、手術療法にしても不安がつきまといますよね。では、どうするのがよいのでしょうか?

一般的に、子供の蓄膿症(ちくのうしょう)の多くは一時的なもので、10歳までには自然治癒してしまうという報告があります。そのため、まずは様子を見ることが肝心です。しかし、蓄膿症(ちくのうしょう)によって睡眠障害が起きていたり、ぜん息なども持っていたりすると危険な場合もあるでしょう。

治療を行うにせよ、様子を見るにせよ、医師としっかり相談して決めるのが大切です。

7.慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)の手術について

7-1.手術方法

手術方法はすでに触れているとおり、『外科手術』と『内視鏡手術』が中心となって行われます。

7-2.痛み

外科手手術の方は歯茎などを切り開いて行うため、術後などにも痛みは残るとされています。大の大人でもつらいので、子供には現実的ではありません。

しかし、内視鏡手術の場合は最低限の部分しか傷をつけないため、痛みはほとんどないとされています。内視鏡手術を選んだ方が賢明でしょう。

7-3.術後の生活・手術痕

基本的には、『外科手術』も『内視鏡手術』も手術痕が残ることはありません。ただし、術後の生活においては、内視鏡手術の方が楽とされています。外科手術の場合、食事などでしばらく不便な思いをするでしょう。

ただし、近年は内視鏡検査が主流なので問題ありません。

7-4.費用・手術期間

手術をする際には、1週間程度の入院が必要となります。そのため、手術費以外にも入院費がかかり、10万円程度はかかってしまうでしょう。ただし、これは高額医療費制度を利用した場合で、使用しない場合には30万円程度にまでふくれあがってしまいます。必ず高額医療費制度の検討を行ってください。

8.副鼻腔炎(ふくびくうえん)の予防法

副鼻腔炎(ふくびくうえん)の予防方法として1番大切なのは、風邪やインフルエンザなどにかからないこと。なぜなら、副鼻腔炎(ふくびくうえん)は風邪やインフルエンザに起因して発生することがほとんどだからです。

しかし、いくら風邪などにかからないよう努力をしていても、体の体質や生活環境などによってはかかってしまうこともありますよね。そのようなときには、市販薬などで済ませたりせず、しっかりと医師の診断を受け、適切に風邪やインフルエンザを治すことが大切です。

また、風邪気味のときには鼻うがいをして鼻の中を清潔に保つことで、予防することも可能でしょう。

まとめ

いかがでしたか?

今回は副鼻腔炎(ふくびくうえん)について簡単に解説しました。副鼻腔炎(ふくびくうえん)は鼻づまりや鼻水、口臭など、日常生活に支障を来す症状が多く発生する病気です。また、場合によっては命にかかわる合併症も引き起こすので、甘く見ていると後悔することになるかもしれません。

しかし、しっかりとした処置をすれば治療が可能です。ですから、副鼻腔炎(ふくびくうえん)であることを自覚、あるいは疑いを持ったのであれば、できるだけ早く医師の診断を受けるようにしましょう。

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