もしかして嗅覚障害? 匂いがわからない原因と起こり得る疾患

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風邪を引いて鼻が詰まると食べ物の匂いなどがわかりにくくなるでしょう。風邪が治ったのに「まだ匂いがわかりにくい気がする」ということはありませんか? 「他人と比べて匂いに鈍感だと思う」という人は、その原因をしっかりと知る必要があるでしょう。嗅覚障害にはさまざまな原因があります。そして、早いうちに治療を始めることで、短期間で治すことも可能なのです。

  • 他人より匂いに鈍感な方だ
  • 匂いがわからなくなる原因を知りたい
  • 匂いがわからないのは何かの病気なのか?

そんな人たちのために、匂いがわからない原因や疾患についてまとめてみたいと思います。

  1. 匂いがわからない原因
  2. 嗅覚の異常をともなう疾患
  3. 匂いがわからないことによる影響
  4. まとめ

1.匂いがわからない原因

匂いがわからなくなる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

1-1.鼻詰まりによるもの

風邪を引いたときに、鼻が詰まって匂いがわからなくなることはよくあります。「匂いがわからないため、食べ物の味もわからなくなった」という経験は、誰にでもあるでしょう。まずは、匂いを感じるメカニズムをご紹介します。

鼻腔(びくう)の中には粘膜があり、鼻腔上方の脳に近い部位には嗅裂という匂いを感じる嗅神経が集中している場所があります。ここに匂いの粒子が到達すると大脳に信号が送られる仕組みです。そして、大脳が匂いを認知します。

風邪を引いて鼻が詰まると匂いの粒子が粘膜に届かなくなってしまうのです。風邪を引いた後に匂いがわからなくなったときは、早めに治療することをおすすめします。

1-2.加齢によるもの

加齢による視覚や聴覚の衰えは、自分でもよくわかります。年齢を重ねると、さまざまな器官の働きが低下していくものです。しかし、嗅覚の衰えはなかなか自覚することができません。お年寄りが味付けの濃い料理を好んだ場合、嗅覚が衰えて料理の味に物足りなさを感じている証拠でしょう。

特に、アルツハイマー病では、早期から嗅覚障害が起こると言われています。お年寄りが匂いを感じなくなる背景には、さまざまな原因があるということを覚えておいてください。

1-3.ストレスによるもの

ストレスによって匂いがわからなくなるケースも少なくありません。耐えがたいストレスを感じたとき、感覚器の働きを弱めることで身を守ろうとしているのです。改善するには、当然ストレスを取り除く必要があるでしょう。

1-4.何らかの疾患による嗅覚異常

嗅覚異常の原因となる疾患にはさまざまなものがあります。もちろん、風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔(びくう)炎などもその1つです。そのほかにも、頭部外傷や脳外科手術、脳腫瘍、アルツハイマー、パーキンソン病などによって神経経路に異常が起こることも原因になります。詳しくは次項でご紹介しましょう。

2.嗅覚の異常をともなう疾患

嗅覚障害には

1.においの分子が嗅神経まで到達する事ができなくて起こる呼吸性嗅覚障害(アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・鼻中隔弯曲症などが代表的)

2.風邪のあとなどに起こる嗅神経や嗅細胞の障害による嗅粘膜性嗅覚障害(末梢神経性嗅覚障害)

3.頭部の外傷や脳腫瘍などによる中枢神経性嗅覚障害

とがあります。

2-1.アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、原因物質が体内に侵入することによって起こります。鼻の粘膜に炎症が起こるため、発作のようなくしゃみが続く、水のような鼻水が出るなどの症状が出るのです。鼻詰まりによる影響で、嗅覚異常を引き起こすことも珍しくありません。

2-2.副鼻腔(びくう)炎

嗅覚障害で最も多いのが、副鼻腔(びくう)炎によるものと言われています。風邪を引いた後に鼻の炎症が長引くと副鼻腔(びくう)炎を発症する人が多いのです。特に、慢性副鼻腔(びくう)炎では、長引く炎症性変化の結果、鼻の粘膜だけでなく脳の一部にも変化が起こり、嗅覚障害が起こりやすくなります。

副鼻腔炎の中でも鼻水中に白血球の一種である好酸球が多く含まれるタイプの好酸球性副鼻腔炎では特に嗅覚障害が起こりやすいことが知られています。理由はまだよくわかっていませんが、嗅神経近くの副鼻腔に炎症が起こりやすく、ポリープができやすいからだと言われています。

嗅粘膜の近くの炎症が強くなると嗅神経や嗅細胞の障害による嗅粘膜性嗅覚障害も合併してきます。

2-3.鼻中隔湾曲(びちゅうかくわんきょく)症

鼻中隔が左右どちらかに歪(ゆが)んだり曲がったりしているのが、鼻中隔湾曲(びちゅうかくわんきょく)症です。慢性的に鼻のとおりが悪くなるため、匂いがわかりにくくなります。そのほかにも、頭痛や肩こり、注意力の減退などの症状があり、鼻炎や副鼻腔(びくう)炎を起こしやすいのが特徴です。

2-4.風邪

実は副鼻腔炎に次いで多い原因が感冒の後の嗅覚障害です。これはウイルスや細菌の感染によって嗅神経や嗅細胞が障害された嗅粘膜性嗅覚障害ですが、熱を伴った風邪の後に、ふと気がついたらにおいがわからなくなっていたという経過が多いです。

2-5.脳腫瘍・頭部外傷

匂いがわからなくなる原因が、脳腫瘍や頭部外傷にある可能性もあります。腫瘍や頭部外傷によって脳の機能が障害をきたすと神経経路に異常が起こるのです。部位によっては、ひきつけや手足のまひ、耳鳴りやめまいなどさまざまな症状が現れます。

3.匂いがわからないことによる影響

最後に、匂いがわらかないことで起こるさまざまな影響についてご紹介します。

3-1.食べ物の味がわからない

食べ物の味を感じるのは味覚だけではありません。視覚や嗅覚も使っているということをご存じでしょうか。鼻詰まりなどが原因で匂いがわからなくなると味覚もまひしてしまいます。おいしい食べ物を口にしていても味がわからないのは、むなしいものですよね。一時的な嗅覚障害であれば少しずつ食べ物の味もわかるようになってきます。しかし、そうでない場合は早めに病院へ行き、原因を突き止めてください。

3-2.リラックスできない

香水やお花などのよい香りを嗅ぐことで心がリラックスしますよね。実際に、アロマを炊くことがストレス解消法になっている人も多いでしょう。匂いがわからないということは、そういった「リラックスするためのよい匂い」もわからないのです。

もちろん、ストレス解消法はほかにもいくらでもあります。しかし、「匂いがわからない」という不安を抱いたままだと、心からリラックスできる日はなかなかやってこないでしょう。

3-3.危険な匂いを察知できない

高齢者の嗅覚障害が多いことはご説明しました。1人暮らしの高齢者が、家事で亡くなるニュースを耳にしたことはあるでしょう。ガスや煙の匂いがわからない嗅覚障害の高齢者は、危険を察知することができなくなってしまいます。高齢者の嗅覚障害はさまざまな危険をうむ可能性があるということを、ぜひ覚えておいてください。

4.まとめ

匂いがわからない原因についてご紹介しました。

  • 匂いがわからない原因
  • 嗅覚の異常をともなう疾患
  • 匂いがわからないことによる影響

「自分は匂いに鈍感な方だと思う」「匂いがわからない原因を知りたい」という人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
川村繁樹

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