いびきと睡眠障害の関係は? 治療法と共にご紹介します。

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いびきとは、睡眠中の異常な呼吸音のことです。「いびきがうるさい」と家族に文句を言われ、悩んでいる方も少なくありません。いびきの原理は笛と同じです。のどや鼻の狭い部分に空気が通る際に起こる振動によって発生します。恥ずかしいからと誰にも相談できずにいる方も多いですが、睡眠障害の症状の一つとしていびきが出ることもありますので、軽視してはいけません。

そこで今回は、睡眠障害といびきとの関係や治療法をご紹介しましょう。

  1. いびきとは?
  2. 睡眠障害といびきの関係
  3. 睡眠時無呼吸症候群について
  4. 睡眠時無呼吸症候群の治療
  5. いびき対策
  6. いびきに関するよくある質問

いびきのひどさを家族から指摘されて悩んでいる方や、近頃ひどい眠気にたびたび襲われて日常生活に支障が出始めている方はぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.いびきとは?

いびきの原因や対処法について紹介する前に、いびきが出る原因やいびきをかきやすい人の特徴などを紹介します。

1-1.いびきのメカニズム

冒頭でも述べた通り、いびきは喉や鼻の狭くなった部分を空気が通る際に起こる振動音です。風が強い日に窓を細く開けていると、風が通るたびに大きな音が鳴りますね。いびきの原理もそれと同じです。ですから、空気の通り道である気道が狭い人ほどいびきをかきやすくなります。

1-2.気道が狭くなる原因

気道が狭くなる主な原因としては、

  • 舌が喉の奥に落ちこむ
  • 鼻づまり
  • 喉の腫れやむくみ
  • 肥満

などがあげられます。一時的なものなら問題ありませんが、長期間いびきが続く場合は何らかの対処が必要になることが多いのです。

1-3.口呼吸はいびきが出やすい?

人は本来、鼻で呼吸をするように体ができています。しかし、鼻づまりなどで鼻呼吸がうまくできなくなると口で呼吸をするしかありません。口呼吸をしていると舌が喉の奥に落ちこみやすくなり、気道が狭くなります。その結果、呼吸のたびにいびきが起こるのです。

また、睡眠中に脳が酸素不足と認識したときにも口呼吸になることがあります。脳は強いストレスを感じると、その回復のためにいつもより多くの酸素を必要とするのです。そのため、ストレスがたまっていたりストレスで疲労感を覚えていたりしても、いびきをかきやすくなります。

1-4.中高年以降にいびきに悩む方が多い理由は?

中年になってからいびきのひどさを家族に指摘されるようになったという方もいるでしょう。中年になると、若い頃に比べて体重が増量する人が増えます。いわゆる中年太りですね。肥満が進行すると喉にまで脂肪がつき、気道が狭くなります。

もう一つの原因はストレスです。30代以降になると職場で責任ある地位を任されることが多くなります。責任感がプレッシャーになり、ストレスの原因になることも珍しくありません。前述したように、強いストレスがかかり続けていると脳はそれを解消するために多量の酸素を必要し、口呼吸になりやすくなります。また、ストレスを解消しようと飲酒量が増えると喉がむくんでよりいびきをかきやすくなるのです。

1-5.放置しておくと危険ないびきとは?

一緒の寝室で寝られないほどのひどいいびきや、いびきが途中で突然途切れ、1分ほどあとに再び再開することをくり返す場合は病気の可能性があります。

なお、いきなり意識を失って大きないびきをかき出した場合は脳出血の可能性がありますので、至急救急車を呼んでください。

2.睡眠障害といびきの関係

この項では睡眠障害の定義や症状、いびきとの関係についてご紹介します。単なる寝不足と何が違うのでしょうか?

2-1.睡眠障害とは?

睡眠障害とは、文字どおり睡眠が正常に取れない症状のことです。

  • 夜寝つけない
  • 夜中何度も目が覚める
  • 早朝に覚醒して起床時間まで眠れない
  • たっぷりと睡眠時間を確保しても眠気が取れず、起床時間に起きることができない
  • 昼間でも強い眠気に襲われ、眠ってはいけない場面でも寝てしまう
  • 1日中眠っていてもまだ眠い

このような症状に悩んでいる方は、睡眠障害の可能性があります。

2-2.睡眠障害の原因

睡眠障害の原因には

  • ストレス
  • うつ病などの精神的な病気
  • 高血圧・心臓病などの体の病気
  • 睡眠時無呼吸症候群

などがあげられます。この中でも睡眠時無呼吸症候群は、自分が睡眠障害であるという自覚が得られにくいため、なかなか治療に移れないことも少なくありません。

2-3.睡眠障害の危険性

睡眠障害を放置しておくと、車の運転中など絶対に眠ってはいけない場面でも強い眠気が起こりやすくなります。また、集中力が続かずいつの間にかぼうっとしていることも多くなるでしょう。気持ちも落ち着かず、イライラしがちになります。こうなると、仕事でのミスも多くなり、日常生活も満足に送れなくなりがちです。睡眠障害が原因で事故を起こすケースも決して珍しくありません。

2-4.いびきと睡眠障害の関係

いびきは、前述したように空気の通り道である気道が狭くなっているために起こります。気道が狭くなるということは、酸素を十分に体内に取り込めないということです。すると、体は酸素不足になって十分な睡眠が取れません。風邪で鼻がつまると息苦しくて眠りが浅くなることがよくあります。ひどいいびきを毎日かいている人は、自覚がなくても毎日ひどい鼻づまりを起こしているのと同じ状態なのです。

2-5.睡眠時無呼吸症候群といびき

睡眠時無呼吸症候群とは、文字どおり睡眠中に呼吸が止まる病気です。舌の落ち込みなどで狭くなった気道が何らかの原因で完全にふさがり、呼吸ができなくなることによって発症します。息ができなくなれば当然苦しくなって起きますので、夜中に何度も目が覚めてしまうのです。その結果、睡眠の質が低下して、日中の強い眠気などさまざまな症状が現れます。気道がふさがる前段階として気道がとても狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群の症状の一つとして激しいいびきが出るのです。

3.睡眠時無呼吸症候群について

この項では、睡眠時無呼吸症候群についてもう少し詳しくご紹介します。どんな方が発症しやすいのでしょうか?

3-1.睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい人とは?

睡眠時無呼吸症候群は、肥満の方が発症しやすい病気です。前述したように肥満になると首にも脂肪がついて気道が狭くなります。そこに舌が落ちこむと気道が完全にふさがってしまうのです。

この他、あごが小さい方も舌が口腔内に納まりきらずに眠っているときに気道深く落ちこみやすいでしょう。

3-2.睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック

  • 昼間でも強い眠気に襲われることが多い
  • 夜間の睡眠中に目が覚めることが多い
  • 家族にいびきのひどさをよく指摘される
  • 睡眠時間は長いはずなのに朝起きても眠気が取れない

このような方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。なお、1人暮らしでいびきを指摘してくれる人がいない場合は、いびきを録音できるスマートフォン用のアプリなどを利用してみましょう。このようなアプリは、いびきを感知すると自動的に録音を開始します。これならば、1人暮らしでもいびきのチェックが可能です。

3-3.睡眠時無呼吸症候群かな? と思ったら

自分が睡眠時無呼吸症候群かなと思ったら、耳鼻咽喉科を受診しましょう。今は睡眠時無呼吸症候群の専門外来もできてきましたが、まだ数は多くありません。耳鼻咽喉科では、いびきのひどさや夜間に目覚める頻度・昼間の眠気などを説明してください。診断がつきやすくなります。

3-4.睡眠時無呼吸症候群の検査

3-4-1.睡眠中の無呼吸の程度を調べる

睡眠時無呼吸症候群の検査には、睡眠中の無呼吸やいびきの程度を調べる方法として簡易検査と入院検査の2種類があります。簡易検査はパルスオキシメトリーという血中酸素飽和度などを測定しつづける計器をつけて一晩過ごす方法です。睡眠中に酸素飽和度が低下している場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなります。

もう一つの入院検査は、一晩入院してその様子をモニターなどをつけて観測する検査です。簡易検査をして睡眠時無呼吸症候群の疑いが強い場合は、入院検査をすすめられることもあります。

いずれも体位との関連も調べることが多いので、仰向けでひどくなるのか横向けに寝てもいびきや無呼吸が起こるのかもわかるでしょう。

3-4-2.狭い場所を調べる

無呼吸やいびきの原因として空気が通る場所が狭くなっている部位がどこかを調べます。耳鼻科用の内視鏡では鼻から口蓋垂(のどちんこ)、扁桃周囲、舌の付け根など狭くなりそうな場所を調べます。また必要に応じてCTなどでも狭い場所がないか調べます。

この検査は内科ではできないので、耳鼻科特有の検査といえるでしょう。狭い場所がわかれば手術で広げることができる場合もあります。

4.睡眠時無呼吸症候群の治療

この項では、睡眠時無呼吸症候群の治療方法についてご紹介します。どのような治療があるのでしょうか?

4-1.マウスピースの着用

下あごを上あごよりも前に出した状態で固定し、気道を広く保つと睡眠時無呼吸症候群が改善することがあります。そのために使われるのが特殊なマウスピースです。市販されてもいますが、歯科医院で作ってもらった方が体にフィットしたものを装着できます。

初期~中程度の睡眠時無呼吸症候群にはマウスピースを用いた治療が行われることが多いでしょう。耳鼻咽喉科の医師が歯科医へマウスピースの制作依頼書を作成してくれるので、必要な方は申し込んでください。

4-2.CPAP治療

CPAP治療とは、睡眠中に酸素マスクのような治療器具をつけて気道に酸素を送り続ける方法です。重度の睡眠時無呼吸症候群にはこの治療法が行われます。マスクを着けたままでは眠りにくいですので、入院をして装着訓練を行うこともあるでしょう。

4-3.鼻づまりの治療

鼻がつまっていると鼻呼吸ができず、睡眠時無呼吸症候群が悪化することもあります。鼻づまりの原因はさまざまですが、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の場合は、鼻の粘膜をレーザーで焼く治療をすすめられることもあるでしょう。鼻の粘膜をレーザーで焼くことで、むくんだ粘膜が縮まり、鼻づまりが解消しやすくなります。

鼻づまりの最大の原因となる鼻中隔弯曲症や肥厚性鼻炎では手術によって鼻詰まりが改善する事がほとんどです。

5.いびき対策

この項では、自分でできるいびき対策をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

5-1.寝具や眠る姿勢

いびきに悩んでいる方は、横向けに寝てみましょう。仰向けで眠るよりも気道がふさがりにくくなります。横向けに寝にくいというかたは、Uの字形枕や抱き枕を使ってみると寝やすいですよ。

また、枕が高すぎたり低すぎたりする場合も、気道が折れ曲がってふさがりやすくなります。今は枕をオーダーメイドできる店舗もありますので、自分に合った枕を作ってもらうのもおすすめです。硬い素材の方が枕の形が崩れにくく、いびき防止の効果が期待できます。

5-2.ダイエット

喉に脂肪がつくほど太っている方は、ダイエットしましょう。食事制限と運動を組み合わせ、月1~2キロのペースで落としていけばリバウンドも防げます。このペースのダイエットは目標体重になるまで時間がかかりますので、ほかの対策と組み合わせておこなうといいですね。

5-3.飲酒を控える

お酒の飲み過ぎは喉のむくみを招きます。飲酒はほどほどにしましょう。

5-4.市販のいびき対策グッズを使用する

ドラッグストアにはいびきを解消するグッズがたくさん売られていますので、これらも積極的に活用してみてください。使用前に使い方をよく読んで正しく使いましょう。

5-5.口呼吸の改善に努める

口呼吸が習慣づいている方は、鼻呼吸に改めましょう。意識して口を閉じて苦しくても鼻で呼吸をし続けることが大切です。睡眠中は思い切って医療用のテープを口に貼ってみてください。強制的に鼻呼吸になります。

それでは眠れない場合は鼻づまりが原因となっている可能性が高いかもしれません。

5-6.一朝一夕にいびきを改善しようと思わないこと

長い間いびきをかき続けてきた方は、改善にも時間がかかります。ですから、一朝一夕にいびきを改善しようと焦らないことです。市販のいびき改善グッズを同時にいくつも利用しても効果は期待できません。また、鼻づまりがひどい方は鼻づまりの治療とも並行して行きましょう。いびきが改善するまでの間は、家族と寝室を分けるなどをするとお互いに気持ちよく過ごせます。

6.いびきに関するよくある質問

Q.自分は睡眠時無呼吸症候群に違いないと思っているのですが、自力で改善することはできるでしょうか?
A.自己判断は禁物です。まずは病院を受診して診療を受けてください。

Q.子どもでも睡眠時無呼吸症候群を発症するのでしょうか?
A.扁桃腺が大きい、アデノイドが大きい場合や高度肥満の子どもの場合は発症する可能性もあります。子どものいびきがひどい場合も、一度耳鼻咽喉科を受診してみてください。

Q.1人暮らしですが、アプリがうまく使いこなせず録音に失敗してしまいます。
A.長時間録音できるカセットテープを使用したり、ビデオカメラを利用する方法も試してみてください。親しい友人がいる方はいびきチェックを頼んでみるのもいいですね。

Q.かみ合わせの問題でいびきをかくことはありますか?
A.かみ合わせがひどく悪いと口がしっかりと閉じられないこともあるでしょう。この場合は、歯科医院での治療が必要になります。

Q.レーザーでの治療は何歳から行えるのですか?
A.病院によって異なりますが、小学校高学年から行える病院が多いでしょう。詳しくは病院に問い合わせてください。

7.おわりに

いかがでしたか? 今回はいびきと睡眠障害の関係や治療法をご紹介しました。いびきは自分では中々気がつきにくいものです。ですから、家族にひどさを指摘された場合や、日中眠くてしょうがない場合は一度耳鼻咽喉科を受診してください。治療が早いほど予後も良くなりやすいでしょう。また、女性でもいびきをかくことはあります。恥ずかしがらずに病院を受診して治療を受けてください。放っておくと日常生活に支障が出ることもあります。

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川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
川村繁樹

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